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業界人の《ことば》から 第494回

リモートワークを中心に考える、Dropboxのバーチャルファースト

リモートワークは生産性を維持した自由を提供するのか、それとも分断を生むのか

2022年07月19日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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日本の働き方は変わった、しかしその回答は1つではない

 バーチャルファーストでは、そのほかにも様々な仕掛けを行っている。

 社内の評価については、仕事に要した時間やアウトプットの数を重視するのではなく、社内外に対するインパクトを重視する仕組みを徹底。リモートワークによって自然と増加しがちな仕事に対しては、選択と集中を意識することを徹底し、会議ばかりが続く環境になると、深く考える時間が無くなるといった課題も、解消することに力を注いだ。

 さらに、「意見が食い違った場合には、リモートだと対立を回避する方向にいきがちだが、面倒くさがらずに、腹落ちするまで、徹底的に議論することを徹底した」という。

 また、日本独自の取り組みとして、管理職社員によるDropbox Studio有効活用検討会の実施や、顧客やパートナーとともに、未来に向けたスマートな働き方を考えるバーチャルファーストアンバサダープログラムの導入、全従業員を対象に毎週10分間、バーチャルファーストツールキット勉強会を開催するといったことがあげられる。

 「バーチャルファーストによる改革は、社員の行動変革が伴わないと実現しない。そのためには、一貫性のあるコミュニケーションとトレーニングが重要である。また、他部門との交流を行える場を率先して作ること、管理職がロールモデルとなることが、これまで以上に重要になっていることがわかった。さらに、オフィスで働いている場合には、社員が孤立しないように配慮ができたが、リモート環境では従来以上に社員の変化にアンテナを張る必要がある」などとし、この1年間の取り組みをもとに課題をあげた。

 もはや、かつての働き方には戻らないというのが多くの企業経営者の共通認識である。

 Dropbox Japanの梅田社長は、「社内でのバーチャルファーストの実践を通じてわかったのは、働き方の選択肢を持つことが大切であるという点である」としながらも、「理想の働き方は、業種、業態、担当業務で変わる。何が理想かということは押しつけられない。それぞれの会社の経営陣が考えなければならないことである。それぞれの企業が、企業ごとに理想の働き方を構築する必要がある。Dropboxは自らの知見を活かし、そこに貢献できる」と語る。

 新たな働き方の答えはひとつではない。

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