高度な独自技術を研究開発する国内外のベンチャーが多数登壇:HVC KYOTO 2022
ヘルステックベンチャーの事業展開をサポートする英語オンリーのピッチイベント
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◆JETRO賞:リバーセル
リバーセルは京都大学の河本宏博士が開発した技術に基づき、再生したキラーT細胞を用いたがん免疫療法の開発するために設立された。
患者のT細胞を取り出して遺伝子を改変したうえで再び身体に戻して治療する自家移植は、ある種のがんに有効ではあるもののコストが高く時間がかかる。それに対して同社はiPS細胞からT細胞を再生し、他家移植用のキラーT細胞を大量に作製する技術を開発し「超汎用性T細胞製剤」と呼ぶ新たな治療法により、病気になったらT細胞製剤で治療する時代になることを目指す。
数カ国で特許を保有しており、免疫療法分野では先駆的な取り組みを行う企業として評価されている。自家移植という方法は競合他社と比べて優位性があり、がんのみならずウィルス感染症にも有効な技術であることからビジネスの市場性も高く、さまざまな企業との連携も期待できるとしている。
◆KRP賞:PuREC
PuREC(ピューレック)は通常の間葉系幹細胞と比べて約1000倍の薬効性(増殖能と分化能)を持つ高純度な間葉系幹細胞「REC」の培養技術を確立することで、より治療効果の高い再生医療の早期実現を目指す島根大学発のバイオベンチャー。
現在流通する間葉系幹細胞は、培養皿上に骨髄単核細胞を播種する方法で培養されるため、品質を一定に保つのが難しいといった問題がある。同社の技術を使用すれば均一で純度が高い最良のRECを培養できるという。
間葉系幹細胞は低リン酸血症のような一生治療を続けなければならない病気を治せる可能性があり、RECはより効果が高いことを検証する臨床試験を実施している。本来RECはさまざまな疾患に応用できるが、ベンチャーであるPuRECとしては、骨を対象にした病気に焦点を当てた研究開発を進めている。それだけでも市場規模は200億ドル以上と見込まれ、そのうち5%を売り上げにつなげようとしている。
ピッチの内容は年々レベルアップし、独自性のある高度な技術ですでに治験を開始していたり、特許申請済みという会社も少なくなかった。一方で、アプリやデバイス、AIといったデジタル技術の研究開発に取り組む会社は、VRでうつ病治療をするデジタルセラピューティクスを研究開発する「BiPSEE」、ブラジルで遠隔医療のソリューションを開発する「Portal Telemedicina」などがあった。将来的にはこういったデジタルヘルス関連の躍進にも期待したい。
ライフサイエンス分野のビジネス全体で多様化が進む
各社のピッチ参加目的も以前とはやや変わり、資金調達もある程度終え、ビジネスモデル実現に向けたパートナー募集のために参加するケースなど、ライフサイエンス分野のビジネス全体で投資が進み、成長途上にあることが伺えた。
対象も乳がん、うつ病といった患者数が多い病気だけでなく、希少疾患の治療に使命感を持って挑もうとするベンチャーもあり、メンターからは厳しくも温かいコメントが寄せられるなど、イベント参加者が一体となって世界を変えていこうとする思いが強く感じられた。ここからいくつのユニコーンが羽ばたくことになるのか、ファイナリストたちの今後にも注目したい。
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