「環境にいい老後」という選択肢が出てきています。
沖縄県名護市の地域密着型特別養護老人ホーム「久辺の里」は、快適性と省エネ性を両立したZero Energy Building(ゼロ・エネルギー・ビル)化の実証施設。わかりやすく言うとエアコンの効きが良く、電気使用量が少ない施設です。
久辺の里を運営しているのはビケンテクノグループの美健会で、ZEB化を手助けしたのはパナソニック エレクトリックワークス社 マーケティング本部 綜合営業企画部。同社が6月28日に開催した現場見学会を取材しました。
省エネ極めた老人ホーム
久辺の里は地上3階建、約3000平米のRC造。入所定員は特養29床、短期入所20床、デイサービス29名。辺野古の湾を臨む立地にあり、屋上からは辺野古新基地建設のために埋め立てが進められている砂浜が見えました。
屋上には計48枚のソーラーパネルが設置され、その脇には高効率の変圧器が設置されています。施設で使われる電力の一部をこれでまかなっています。
1Fにはソーラーで作った電気をためられる蓄電池が設置。同所は名護市と防災協定を結んでいて、災害時の避難所設備として活用することも想定しています。
施設内の照明と空調はパナソニック製。中でも省エネ性が高いものを選び、居室のエアコンには空気清浄機能を備えた最新の「エオリア」を設置しています。
施設全体の電力使用状況はエネルギーマネジメントシステム(EMS)で管理。空調や照明などの省エネ制御ができるように設計しています。
壁や天井には最新の断熱材が入り、窓は遮熱が期待できるLOW-E複層ガラス。
エアコンの室外機は「花ブロック」という沖縄特有のコンクリートブロックで隠されています。美観に加えて台風対策という側面もあるそうです。
省エネ対策により、施設の一次エネルギー消費量は基準値2721MJ/年m2の半分以下である1299MJ/年m2におさえられています。ZEBシリーズの1つ「ZEB Ready」の認定基準を満たす、まさに省エネを極めた老人ホームです。