コロナ禍や円安による影響はプラスに働いた
ブラザーの業績は好調だ。
2021年度のブラザーグループの業績は、売上収益が前年比12.5%増の7109億円、事業セグメント利益は8.3%増の846億円、営業利益は100.1%増の855億円、親会社当期利益は148.9%増の610億円。すべての項目で前年度実績を上回り、事業セグメント利益、営業利益、親会社当期利益は過去最高を更新した。
売上収益は為替のプラス影響に加えて、工作機械や工業用ミシンなどのマシナリー事業が伸長したほか、プリンティング&ソリューション事業での消耗品売上げが堅調に推移し、平均単価の上昇も貢献したという。
「不安定な供給面の影響により、お客様にも迷惑をかけたが、コロナ禍での新たなワークスタイルが定着するなかで、小型、省エネ、コストパフォーマンスに対する評価が高いブラザー製品群への需要が旺盛であった」と総括する。
コロナ禍では、マスクの手作りなどのために家庭用ミシンの販売が増加したり、在宅勤務にあわせて家庭用プリンターの販売が増加したりといった動きもみられている。
そして、2021年度は、ブラザーグループが取り組んできた中期経営計画「CS B2021」の最終年度でもあった。国内販売を担当するブラザー販売では、過去3年間に渡って、BtoB市場での存在感を高めることに注力。インクジェットプリンターではタンクモデルのラインアップを大幅に拡充する一方、レーザープリンターやラベルプリンターのラインアップを強化。スピードやコスト競争力のある製品群を揃えることで、ビジネス基盤の構築に努めてきた。
「主力のSOHOや、家庭用プリンティング事業だけでなく、オーダーグッズや業務用ラベルソリューションなどの新たな市場への提案を強化することで、これらを次世代の柱となる事業に育てるべく活動をしてきた」と振り返る。
保守サービス込みで一定印刷枚数まで定額の「フラット12」といったサービスメニューの提供も開始したことも新たな取り組みのひとつだ。
特に力を注いだのが、業務用ラベルプリンターのフルラインアップ化である。
「ブラザーは、手頃なローエンドのラベルプリンターを得意としている。だが、業種や業態によって、ラベルプリンターの用途は多岐に渡る。ラベルの素材、印刷するバーコードの種類、システムへの対応、印刷量などが異なるため、ローエンドからハイエンドまで、現場の環境に沿って、最適な提案ができるように品揃えを強化した。BtoBに提案できる商品ラインアップが揃ったことから、新中期戦略では、この基盤を活かしてさらに提案の質を高めたい」と意気込む。
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