Microsoft Build 2022 Spotlight on Japan完全レポート 第6回
Power Platform、Azure、GitHubとAzure DevOps、さらに「開発者の成長とコミュニティ活動の価値」まで幅広いトーク
開発者どうしのつながりを生んだBuild 2022「Connection Zone」参加リポート
2022年06月16日 10時00分更新
マイクロソフトが2022年5月25日からオンライン開催した開発者向けグローバルイベント「Microsoft Build 2022」。日本向けには独自プログラム「Build 2022 Spotlight for Japan」も開催され、最新のマイクロソフトテクノロジー動向や知見、活用事例などに触れられる機会となった。
Spotlight for Japanでは「Connection Zone」というプログラムも展開された。こちらはMicrosoft MVP(Most Valuable Professional)受賞者、Microsoft RD(Regional Director)および技術コミュニティのスピーカー、総勢47名が発信する19のテーブルトピックやセッション、そしてマイクロソフトのエンジニアが技術的な質問を受け付ける「Ask the Experts」などで構成された。「Microsoft Teams」を使って参加者からの質問や反応をリアルタイムに受け付けるスタイルをとり、オンラインイベントでは不足しがちな人と人との「つながり(=Connection)」を生みだす試みと言える。
この記事では、技術コミュニティが主体となって展開されたConnection Zoneからいくつかのテーブルトピックとセッションをピックアップして、そのオープンな雰囲気をお伝えしたいと思う。
「Microsoft 365×Power Platform」をテーマにMVP 4氏と参加者がワイガヤ
今回のBuildでは、シチズンデベロッパー(市民開発者)向けのPower Platformでも数多くの発表が行われた。「Microsoft 365 x Power Platform 座談会」のテーブルトピックでは、「Office Apps & Services」と「Business Applications」カテゴリのMicrosoft MVP 4氏がホストとなり、ローコード開発に興味を持つ受講者からの質問に“ワイガヤ”な雰囲気でコメントしていった。
ご存じのとおり、誰でも手軽にアプリケーション開発を始められるのがPower Platformのメリットだ。しかし開発の自由度が高いために、初めて触るユーザーは「どこから始めたらよいのかわからない」と悩んでしまうこともある。そういう人におすすめできるのはどんなアプリ開発だろうか。
そんな問いに対して、各氏に共通していたのは「まずは小さな成功体験が得られる、簡単なアプリ開発からスタートすべき」という意見だ。たとえば「SharePointリストを使った簡単な勤怠管理アプリ。あるいはコロナ禍なので、今日の体調を報告してもらうようなアプリ」(中村亮太氏)、「SharePointリストやMicrosoft Listsをデータソースに使うアプリ」(中村太一氏)といったアイデアが挙がる。
平野氏はさらに単純な、外部アプリと連携させないアプリをPower Appsで作るのもおすすめだと述べる。「まずは、つまずかずに『楽しいな』と思ってもらうことが長続きする秘訣だと思います。わたしが教える場合は、たとえばモバイルデバイスの機能も使ったカメラアプリなどを作ってもらいます」(平野氏)。この発言に対し、聴講者からも「わたしも昔、『へぇボタン』を作りました」などとコメントが飛ぶ。
「タスク管理アプリを開発したい」という聴講者には、「まずは機能ごとにスモールスタートするのをおすすめします。最初からひとつにまとめて開発しようとすると、失敗の原因になるので」(中村亮太氏)とアドバイスした。加えて、Microsoft 365が用意している「Microsoft Forms」「Microsoft Planner」などの既存機能をできるだけ活用して、自分で開発すべき部分に絞って開発するのが良いアプローチだと説明する。
今回のBuildで発表されたPower Platformの新サービス「Power Pages」(プレビュー)も話題に上った。社外向けのビジネスWebサイトをローコード開発できるPower Pagesについては、全員が「使ってみたい」と口をそろえる。「アレは衝撃の作りやすさなのでは?」(山田氏)、「今後はSharePointがイントラ(社内)向け、Power Pagesが社外向けというすみ分けになると思う」(平野氏)、「同じものの開発をお願い(外注)したらすごくお金がかかりそう(笑)」(中村亮太氏)などと、ユーザー視点で話が盛り上がる。同様に、Webデザインツールや手描きでPower AppsのUIが簡単に作れる「Express Design」にも注目が集まった。
今後のPower Platformはどう進化していくのか。ひとつの大きな方向性として考えられるのが、シチズンデベロッパーとプロの開発者によるコラボレーションだろう。シチズンデベロッパーが基礎的なアプリをPower Platformで開発し、より高度な機能の実装はプロ開発者が支援するというスタイルだ。今回のBuildでもその実現に向けた発表が多くなされ、「だいぶ環境が改善されている」(中村亮太氏)という。
こうした変化によって、Buildというイベントの位置づけも変わっていくのかもしれない。「昔のBuildは“ガチ開発者向け”のイメージだったが、いまは市民開発者というキーワードが入ってきていて、より幅広い人が楽しめるようになりました」(中村太一氏)。より多くの人がアプリ開発を楽しむ未来への期待を抱かせながら、テーブルトピックは終了した。
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