このページの本文へ

Microsoft Build 2022 Spotlight on Japan完全レポート 第12回

時間も場所も言語の壁もなくなった今、開発者はいつでも学ぶチャンスを持っている

Buildで感じたマイクロソフトの強みは「歴史」と「包容力」

2022年07月14日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 5月25・26日に開催されたMicrosoft Buildでは、日本オリジナルの「Microsoft Build Spotlight on Japan」が開催された。今回はMicrosoft Build Spotlight on Japan完全レポートの締めとして、イベントで注目したテーマと感想を書き連ねてみたい。

歴史を作ってきたde:codeのDNAを日本オリジナルBuildに注入

 初日の午前中、グローバルでのサティア・ナデラCEOの基調講演とIMAGINE CUPの配信終了後、「Microsoft Build Spotlight on Japan」がいよいよスタートする。司会を務めたのはマイクロソフトの西脇資哲氏と安田クリスチーナ氏の二人。今回、複数のセッションをMicrosoft Build Spotlight on Japanという統一したコンテンツとして楽しむことができたのは、この二人の役割が大きかったと思う。当日、二人がライブでセッションを紹介したり、登壇者とトークしたり、SNSのコメントを拾うことで、視聴者もライブでイベントしたような気分になったのではないだろうか? 

幕間での登壇者とのトークが面白かった

 二人が振り返ったのは、イベントとしてのBuildの歴史だ。グローバルイベントのBuildに対して、日本では8年前からBuildの日本版である「de:code」というオリジナルイベントを開催されており、日本独自のプログラムも数多く用意されていた。都内の大型ホテルを会場に、Windows Phoneを参加者に配布したり、西脇氏がドローンを飛ばしたり、アイドルとのトークセッションがあったり、派手派手な演出が印象的だった。IoT、AI、VR、仮想通貨など、毎年のトレンドをこのイベントで実感したものだ。

ステージ上でドローンを飛ばした2015年の西脇氏

 日本独自のイベントだったにもかかわらず、6年前はサティア・ナデラCEOも来日してde:codeで基調講演を披露。2017年には「HoloLens」の生みの親であるアレックス・キップマン氏も来日した。登壇が登壇がほぼ女性という年もあったし、堀江貴文氏や本田圭佑氏などの豪華ゲストもやってきた。行けばなにか持ち帰れるのがde:codeの面白さだった。

2018年は基調講演の登壇が社長以外すべて女性だった

 しかし、グローバルでのコロナ渦の影響もあり、2020年、2021年はBuild自体がオンライン化。日本のde:codeもオンラインで開催されることとなった。2020年には開発者向け有償イベントだったde:codeも、2021年は無償イベントとなり、登録すれば誰でも参加できるようになった。

 そして、2022年の今回はグローバルのBuildと同時開催の日本版としてMicrosoft Build Spotlight on Japanが開催されることになった。独自プログラムを実施するのは、フランス、ドイツ、イギリス、ラテンアメリカ、日本の5つの国と地域。日本オリジナルコンテンツは47で、スピーカーは約100人。アーカイブも公開されているので、今からでもMicrosoft Build Spotlight on Japanを楽しむことができる。

注目のメタバース、ローコード開発 Connection Zoneではワイガヤ再現

 マイクロソフト最大のイベントということで、セッションの内容も多彩だった。クラウドのみならず、Visual Studioを中心とする開発環境、Power Platformのようなローコード開発ツール、HoloLensのようなハードウェア、そしてPCを支えるWindows OSまで多岐に渡る。こうした中、Microsoft Build Spotlight on Japanでは、注目度の高いプロダクトやキーワードをセッションで深掘りした。

 初日の日本マイクロソフト基調講演では、日本マイクロソフト 代表取締役 社長 (当時)吉田仁志氏がRevitalize Japan(日本社会の再活性化)をアピール。B2Bでのメタバースの活用をテーマに、川崎重工やニコンの事例を紹介した。川崎重工の事例はサティア・ナデラCEOのグローバルの基調講演でも紹介されたが、ものづくりの国としての新しい可能性を感じさせられるソリューションだと感じられた(関連記事:Build 2022の日本マイクロソフト基調講演 産業メタバースやローコード開発の事例を披露)。

ナデラCEOも取り上げた川崎重工のメタバース事例は日本人として誇らしかった

 セッションの中で注目度が高かったのはローコード開発だ。マイクロソフトは「Power Platform」のブランドでデータ可視化、自動化、チャットボット、ローコード開発などのツールを展開しているが、今回Webサイトを簡単に構築できる「Power Pages」を発表。なにより驚いたのは、画像からPowerAppsのパーツを生成してくれる「Express Design」だ。マイクロソフトの革新的な技術により、現場部門が自らの業務を自ら効率化していくという流れがますます加速すると感じられた(関連記事:増えるローコード開発需要に応える「Power Pages」と「Express Design」を発表)。

手書きの画像からアプリの部品を作れるExpress Designに驚愕

 また、リアルイベントらしい活気を感じたのは、コミュニティ主催のConnection Zoneだ(関連記事:開発者どうしのつながりを生んだBuild 2022「Connection Zone」参加リポート)。Teamsで参加するという段階で、インタラクティブな予感もするが、知見を持つMVPやエンジニアが特定のジャンルについてワイワイガヤガヤ話をするわけで、楽しくないわけがない。Microsoft 365×Power Platform、Azureサービス選び、GitHubとAzureDevOpsといったテーマのほか、そもそもコミュニティ参加の必要性を考えるセッションもあった。マイクロソフトのみの講演ではなく、コミュニティの意見を聞くことで、サービスの価値をユーザー目線で客観的に捉えることができるだろう。

「開発」という言葉の定義が変わる中、包括的なサービスが強みに

 さてBuildのイベント全体で印象的だったのは、「開発」の定義が大きく変化しているという点だ。コードを書ける人だけの特権的なスキルだった開発の敷居がどんどん下がり、シチズンデベロッパー(市民開発者)という言葉も珍しくなくなってきた。OSSの利用が当たり前となり、オンプレミスからクラウドへのシフトも急速に進んでいる。また、Javaやオンプレミスなど既存のITを支えてきた技術のマイグレーションも必要になる。その点で、マイクロソフトのカバーすべき開発向けのサービスの範囲はきわめて広い。

 これに対して、開発者向けツールを作ってきたマイクロソフトも、Visual StudioやGitHubなどのサービスをマルチデバイス、クラウドネイティブに向けてどんどん進化させてきた。Power Platformという現場のユーザー向けのツールも拡充し、Power PagesやExpress Designのようにいよいよデザインするかのようにアプリを作れるツールも出てきた。確かにクラウドネイティブやコンテナに対するセッションやメッセージは多かったが、Java on Azureやハイブリッドクラウドのような既存のテクノロジーのマイグレーションも忘れていない。失敗・成功含めたチャレンジの「歴史」とあらゆるニーズを満たすサービスの「包容力」こそがマイクロソフトの強みだと感じられた。結局はいつも開発者にフォーカスし、開発の定義をつねに刷新し続けている企業だと思う。

 今回のMicrosoft Buildはアーカイブもあるため、時間と場所を問わず、さまざまなコンテンツをいつでも視聴できる。また、字幕や翻訳のサービスがあるため、多くのセッションを日本語で視聴できる。時間も、場所も、言語の壁もなくなり、興味あるテーマはいくらでも深掘りできる。Microsoft Build Spotlight on Japanでさまざまなプロダクトやテクノロジーに興味を持ったユーザーは、グローバル向けのセッション動画を視聴したり、Microsoft Learnでさらに学びを深めてほしい。

(提供:日本マイクロソフト)

カテゴリートップへ

この連載の記事