アウトドアの過酷な環境に耐えうるモバイルバッテリーとは?
モバイルバッテリーのデザインに新しい視点を導き入れたという意味で、革新的ともいえるNESTOUT アウトドア モバイルバッテリー シリーズ。開発の起点となったのは、アウトドアシーンをめぐるひとつの気づきだった。
本人もアウトドア好きを自認する開発を担当した商品開発部 デザイン課のデザイナー 安井章さんが、最初に考えたこと。それは「今キャンプシーンで何が起こっているのか?」という問いだった。
「エネルギーの転換が起こっているのではないか? そう考えました。今やスマートフォンを筆頭に、各種のモバイル機器がキャンプ場に盛んに持ち込まれています。アウトドアでは定番のガスやガソリンにも引けを取らないぐらい、電気エネルギーを利用する機会が著しく増えているわけです。であるならば、長く電気機器を開発してきた弊社にもできることがあるはずと、思ったのがきっかけでした」
既存のモバイルバッテリーに、アウトドアユースとして満足できる製品が見当たらなかったこともNESTOUT開発の大きな契機になった。見当たらないと感じた背景には、ここ数年で急増した他社製のリチウムイオン電池製品による発火事故があったという。
「事故が急増した要因のひとつに、ハンディ扇風機の流行が挙げられます。地面に落としたり、ぶつけたりする機会が増えた結果、内蔵されているリチウムイオン電池が発火を起こしたと考えられています。品質の良くない一部の製品が事故を引き起こしたのも事実ですが、そもそもリチウムイオン電池は外からの衝撃や圧力が苦手なんですね」(出典:携帯用扇風機「1.損傷したバッテリーが破裂」/独立行政法人製品評価技術基盤機構より)
となれば、同じくリチウムイオン電池を内蔵するモバイルバッテリーにも、同様の危険性がないとは言い切れない。ましてや環境が過酷を増すアウトドアユースとなれば、なおさらだ。当然、防水・防塵性能や耐衝撃性能が必須となるが、市場には満足できる製品が見当たらなかった。
「そこで目標に置いたのが、完全なる防水・防塵機構、耐衝撃機構の実現です。防水・防塵機構については、外装の隙間が最小限となるような設計構造と成形方法を採用しました。通常は内容物の実装作業がしやすいように外装を縦方向に割るところを、より断面積の少ない横方向に割って、さらに隙間をパッキンで埋めました。また、最も水を嫌う端子部分には、水筒と同じネジ栓を採用することで防水性能を確保しています」
その結果、モバイルバッテリーとしては破格ともいえる防水・防塵規格IP67を実現した。耐衝撃性に関しては、外装に丸みを持たせることで外からの圧力や衝撃に強い構造を実現。内蔵されるリチウムイオン電池も、万全を期すべくシリコンクッションで包むことで振動や衝撃を緩和させている。
NESTOUTのデザインに、装飾を意図した要素はひとつもない。すべてアウトドアユースに耐えうるモバイルバッテリーを開発すべく、必要な機能を徹底追求した結果、おのずとたどり着いたデザインという。まさに「形態(デザイン)は機能に従う」のである。