業務を変えるkintoneユーザー事例 第135回
kintone導入8年目のてこ入れで実った効率化と時短
二度手間、三度手間をなくして時短 奥羽興産が取り組んだ不動産業界の業務改善
2022年06月16日 09時00分更新
「kintone hive 2022」の第1弾がZepp福岡で開催された。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD」に進出する。
5番目に登壇したのは奥羽興産 経営企画部の河邉祐梨子氏。「データ入力を減らしたいという思いから始まったkintoneでできる業務改善」というテーマで発表してくれた。
kintone導入済みなのに、何度も同じ情報を入力していた工数を削減
奥羽興産は不動産の管理や賃貸、売買、土地開発など様々な業務を行なっている地元の不動産会社で、今年で創業25年目を迎えた。社員は40名でそのうちの3名がkintoneの担当者だという。
河邉氏は現在、入社6年目。売買や賃貸の現場担当から経営企画部に移り、特にIT経験はなかったのだが、今ではkintoneの担当となっている。吹奏楽や旅行、ドライブといった趣味をとても大切にしているそうで、そのための時間を持ちたいと考えて社会人になったそう。
奥羽興産がkintoneを導入したのは2014年で、河邉氏が入社した頃にはすでにたくさんのアプリが使われていたそう。きっかけはアンケート業務だった。
来店した顧客にアンケートを取るのだが、以前は紙に書いてもらい、その内容を人の手でExcelに転記していた。Excelだと共有しにくいし、属人化が発生するというあるあるの課題が出てきたので、その部分の業務改善をするべく、kintoneを導入したのだ。しかし、河邉氏がkintoneを触ってみると、業務改善とはほど遠い状態になっていた。
「お客さまからいただいたアンケート用紙をkintoneにするところまでは良かったのですが、結局Excelでデータを出していました。そして、クラウドサービスを使っているのに、管理者から『ここ入力されていないよ』と電話がかかってきます。私も現場にいたので『すみません! 入力しました。確認お願いします』というやりとりが、1日に何回も行なわれていました」(河邉氏)
アンケートには金額や住みたい場所、希望などさまざまな情報が手書きされているが、それをすべてkintoneに手入力していたのだ。しかも「顧客管理」アプリと「追客」アプリに二重入力し、さらにその内容をExcelに二重入力する、合計4重入力による管理を行なっていた。
経営層の思い、現場の声から業務改善に着手、年間192時間も時間短縮に
当然、現場は不満を持つし、河邉氏も愚痴を言っていたそう。この状況がおかしいと気がついたのは、河邉氏が入社5年目に経営企画部室へ異動になった時。kintoneの担当者になったため、kintoneについて調べるところから着手した。
そこでわかったのが、kintoneは業務改善ができるツールだが、導入しただけで業務改善ができるわけでもないということ。そして、奥羽興産の経営層がkintoneを導入した想いも知ることになる。「現場の入力を最小限にして、事務作業を減らしてあげたい。全員で情報共有して、見やすいグラフやデータで会議をしたい」と経営層の声を聞いた河邉氏は、これを実現すればもっと効率的な働き方ができ、もっと早く帰れるのではないかと考えた。
「ここで、ひとりで悩まなくていいのもkintoneのいいところです。奥羽興産にはそもそもkintoneを導入した8年間の歴史があったので、kintoneに対する理解がありました。彼らと一緒に不動産の業務について考えました。それからサイボウズのオフィシャルパートナーから業務改善に関してはMOVEDのみなさん、アプリ開発支援についてはNON BIN BEANにご支援いただきました」(河邉氏)
いろいろな人の力を借りることで、河邉氏はアイデアをどんどん形にすることができた。そこで行なった取り組みが3つあるという。1つ目が紙アンケートの廃止だ。データの4重管理だと二度手間三度手間がかかるうえ、入力間違えも多発する。そこで、トヨクモの「フォームブリッジ」を導入し、ウェブサイトからkintoneのレコードに直接データを入力するようにした。
来店した顧客には、自分のスマホもしくは店舗に置いてある端末でアンケートに回答してもらったところ、転記作業からの解放を実現できた。

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