ソールの「BW SPORT」と数字の謎
ソールには「BW SPORT 275」とあります。この表記については、諸説あります。
まず「BW SPORT」について。「BW」はドイツ連邦軍「Bundeswehr」の略称で間違いないと思います。では、BW SPORTとは、どういう意味でしょう? これについて、古着店に聞いてみたり、ネットでドイツ語の文献を検索したりと、いろいろ調べてみました。
よく言われているのが、「BW SPORT」社が製造したのだ……という説です。しかし、それに関しては疑問があります。前述したように、ジャーマントレーナーにはアディダスやプーマも製造したものがあり、中にはソールの側面に「PUMA」の表記がある個体もあるそうです。
時期によってさまざまな工場で生産されたとするなら、BW SPORTというメーカーが作った証である……という説明には違和感があります。
一方、「ドイツ軍用のソールをオフィシャルで生産するメーカーが付ける文言」である(つまり、特定のメーカーを指しているわけではない)、という説もあります。
セレクトショップのスタッフから聞いた説なのですが、これならば、「生産された時期や工場に関わらずBW SPORTの表記があるのはそのため」「レプリカにもBW SPORTの表記があるのは、それを再現しているため(メーカー名ではないから、表記しても問題はない)」ということで、説明が付きそうです。
また、BW SPORTの下には「275」とあるのですが、これも気になります。「サイズが27.5cm」を示しているという説がありますが(実際問題、この1つ下のサイズは「270」、1つ上のサイズは「280」となっています)、単に「そのサイズの型番である」という意見もあります。
このジャーマントレーナーは箱付きでしたが、「BW 275 / EU 43」とあるので、たしかに、「サイズが43の型番が、『BW 275』である」と考えることはできるかもしれません。
ちょっと悩ましいサイズ選び
ジャーマントレーナーで悩ましいのが、サイズ選びです。
というのは、甲が低めで、幅も狭めという、いかにもヨーロッパ製のスニーカーな作りだからです。ただ、そのわりにノーズは長く、履き口が小さい割にはやや緩め。ちょっと、今どきのスニーカーにはないサイズ感なのです。
よって、足の形によってチョイスは変わると思います。筆者は日本人にしては足の幅が狭く(Dワイズ)、足の甲はすこし高め。足の実測は27.0cmで、スニーカーとしては27.5〜28.0cmを選ぶことが多いです。
なので、EU43(27.5cm)か、EU44(28.0cm)で悩みましたが、前者にしました。ジャストサイズで、ちょっとぴったりすぎるかも……と思うものの、EU44だと、かかとが気持ち浮いてしまうのです。歩く上では、そっちのほうがまずいかな、と。
もっとも、幅広だったり、甲高だったりする人は、ハーフサイズ〜ワンサイズほど上げてもいいと思います。そのあたり、可能な限り、試着して選びたいですね。とはいえ、都合よくマイサイズの状態のよい放出品があるとは限らないのですが……。
肝心の履き心地ですが、普通の運動靴、という感じです。そのまんまの感想といえば、その通りなんですが……。もちろん悪くはないものの、最新のハイテクスニーカーと比べれば、やっぱりクッション性は低い。見た目相応……といったところ。
質実剛健でありながら、どこかヨーロッパな“シュッとした”雰囲気をただよわせるスニーカー。状態のよいデッドストックや中古品を探すのは大変かもしれませんが、レプリカならば比較的安価に手に入ります(だいたい8000円台からあります)。
また、かつて製造を手がけていたアディダスなど、ジャーマントレーナーからインスパイアされた「BW ARMY」という製品を出しています。デザインがそのものではないにせよ、これらも手に入りやすい「ジャーマントレーナー系」スニーカーといえるでしょう。
シンプルなのだけれども、どこか品があるというか、エレガンス。だけれども出自は運動靴なので、タフな雰囲気もあります。目立ちすぎないけれどもみんなが履いているものはどうも……と考える人はチェックしてみては。
ただ、最近、(レプリカも含め)都内でも履いている人をちらほら見るんですよね……。人気が高まっているということなのでしょうか。町中でジャーマントレーナーを見かけても、「被った……」と落ち込まずに、「同好の士」と思うぐらいでよいかもしれません。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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