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PTA役員のお父さんがクラウドツールを試してみる

PTAは紙とUSBがお好き? 引き継ぎはひたすらAdobe Scanだった

2022年05月31日 11時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 子供の新学期がスタート。今年は高校生の娘のPTAで役員をやることになった。そこで向き合った実体験を元に、クラウドツールの活用を考えていきたい。第1回は、PTAでもっとも重要な作業とも言える前年度からの引き継ぎでなぜスキャンツールが重要かを解説する。

PTAでクラウドツールを使ってみる

 まずは筆者の現状について解説する。50代になりたての私には二人の子供がおり、姉は私立女子高校の高3、弟は公立中学の中1。普段は両親で学校の活動は分担しているのだが、今年は私が私立女子高校のPTAの役員になった。実は娘が中3のときにPTAのクラス委員になったのだが、今年を逃すと姉の学校に関わることもないので、再度チャレンジしてみることにした。

 記事を読んでもらう上で、まず一点だけ断っておきたいのは、私の参加している私立女子高校のPTAは、親御さんがみんな活動に前向きということだ。PTAの話になるとよく話題となる「役員を決めるのに時間がかかる」「任意なはずなのに仕事を強制される」みたいな話はうちのPTAでは見受けられない。今年は私のようなお父さんの参加率もわりと高く、お母さんの園みたいな状況でもない。そのため本稿では「PTA 闇」でググると出てくるような下世話な話、「そもそもPTAの存在価値とは?」みたいなポリティカルな話は出てこないので、ご了承いただきたい。

 一方で、時代錯誤な部分はいっぱいあるので、便利なクラウドツールでPTAの課題を解消していく方法は提案できそうだ。基本ボランタリなPTAでは、無料で使えるというのは非常に重要な要件なのだが、その点最近のクラウドツールは無料で使えるフリープランを用意しているサービスも多いし、NPO優待といった非常に安価な有償プランもある。

 外部の人ではなく、PTAの中の人として、こうしたクラウドツールを紹介し、場合によっては試してみるのが、この連載の趣旨である。あくまで「都内の私立高校のPTAがIT化を試すとこんな感じなのね」と思うくらいで読んでもらいたい。

びっくりするほど紙だらけな学校 PTAは?

 春はPTAの活動がもっともアクティブな時期でもある。PTAは3月に次年度の役員が決まり、新学期の始まる4月に活動計画や予算が策定され、クラス委員も決められる。役員、活動計画、予算案などが承認されるのはおおむね5月のゴールディンウィーク明け。そのため、私は3月に次年度の役員に立候補し、学園祭の担当となった。今年は学園祭担当としてお父さんも参加してくれたので、めちゃくちゃ心強い。

 さて、PTAに参加した親御さんが感じるのは、やはり「びっくりするほど紙だらけ」という感想だろう。コロナ禍でデジタル&クラウド化が進んだと言われ、姉の私立女子高校はiPadや電子黒板、オンライン授業、校務システムの「Classi」などの導入などが矢継ぎ早に進んだが、弟の通う公立中学は今も紙漬けである。子供がプリントを出さないと、親は学校の情報を知ることができない。

 学校が紙だらけということは、PTAも紙だらけでは?と思いがちだが、これは各PTAによってけっこう違うのではないかというのが個人的な感想だ。というのも、学校とPTAは共存関係ではあるのだが、あくまで別の組織なので、PTAはPTAで予算を持ち、IT化に関しても執行部の判断で施策を打てる。しかも、大人はスマートフォンの所有率も高いので、デジタル化されている部分も多い。

 このデジタル化の割合が決め手になるのは、3月期の引き継ぎだ。PTAは基本昨年の活動をそのまま踏襲するため、前年度の活動計画や予算をいかにきちんと引き継ぐかが大きなテーマとなる。そしてこの引き継ぎ資料が完全に紙だと大変なのだが、悲しいかな紙のケースは非常に多い。昨年の活動を調べるために、わざわざ学校のPTA室に出向き、バインダーをひっくり返さなければならない。

コロナ禍での活動縮小を踏まえて、3年前までスキャン

 ということで、最初の会合で私がやったのは、Adobe Scanによる紙資料のスキャンだ。担当する学園祭の予算案やマニュアル、メンバーからのフィードバックなどの紙資料をひたすらスキャンしまくる。資料には重要なメモも付箋などで付けられているので、それらもまとめてスキャンで取り込む。

 Adobe Scanで重宝するのは、取り込んだ写真に自動で補正をかけてくれるところ。見やすくなったドキュメントはDocument Cloudにアップロードすれば、容易に共有できる。手軽に共有できるところは、クラウドツールならではだ。

PTAの書類をひたすらスキャンしまくる

取り込んだ画像を自動で補正してくれる。あとはPDFに保存し、共有すればOK


 一方、こうした資料の多くはPCで作られるのを前提にテンプレートが用意されており、これらはPTA管理のUSBメモリもといUSBに格納されている。つまり、ある程度はデジタル化されており、当日私がパソコンを持ち込んで、USBメモリもといUSBの内容をコピーできたので、これでも作業はかなり楽だった。

 今年大変だったのは、コロナ禍の前後で活動内容がずいぶん違っていることだ。特に学園祭に関しては、2年前は完全に中止になっており、昨年度はかなり縮小した規模での開催だ。そのため、予算や活動規模が各年度でまったく異なっており、コロナ禍前の規模を前提とすると、3年前の2019年の資料まであさらなければならない。姉の学校は自宅から遠いので、この3年分の資料を選択し、学校にいられる限られた時間でひたすらスキャンするというのは、なかなか骨の折れる作業だった。

 そんな中、PTAにおいても、PDFは重宝される汎用フォーマットだ。iPhoneでも、Androidでも、PCでも同じように開けるというのは、デジタルリテラシのばらついたPTAの環境では非常にありがたい。ただ、紙をデジタル化した書き換えられないフォーマットというイメージが強いなので、たまに「Wordで送ってすいません。PDFで再送します」みたいな連絡がやってくる(笑)。

 さて、次回はPTAでのコミュニケーションツールについて説明していく。

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