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SUPER GTの激闘の裏では!? Modulo Nakajima Racingのピットに密着取材

2022年05月21日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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決勝レースが始まるまでは
時間との戦い

カウルを立てて作業をしている様子

 決勝日の朝はサスペンションのセッティング変更が始まりました。SUPER GTの場合、写真のようにカウルが立てかけられている状態を目にすることが多いと思います。ピットウォーク中に、このような状態を見たら「足回りかエンジンに手を入れている途中」と考えて間違いなさそうです。

ピットウォーク中の様子

ピットウォーク前、再度マシンを綺麗にするメカニック

 決勝日のピットウォークは朝10時。本当にクルマ業界の朝は早いです。レースクイーン、ドライバーは、それぞれファン対応をされている間、チームメカニックは、ギリギリまで作業を、そしてエンジンカウルを閉じてマシンを綺麗にします。

 一方、チームスタッフは色々な方が出入りすること、そして時間的に早いことから、メカニックはお昼を食べずいったん休憩。

中嶋総監督と浜島さんが難しい表情でダンロップのエンジニアとミーティング

中嶋総監督が去った後、今度はドライバーの2人が話し合いに参加

 と思いきや、ピットウォーク終盤、チーム内ではダンロップのエンジニアとドライバー、そして中嶋監督といった首脳陣による深刻な顔の話し合いが行なわれていました。和やかと思っていたのは、筆者だけだったようです。こうしてピットウォークの時間は終了。

Tシャツを着てマシンと撮影する唯さん

Tシャツの背中もバッチリ撮影

 ピットウォークから戻ってきた唯さんは、急ぎTシャツを着てスマホで撮影。これはSNSで掲載するためのもの。この時撮影されていた写真は、彼女のアカウントで見ることができます。

カウルが開いている時、マシンには2本の棒が取り付けられていることが多いのです

棒と床(厳密に言えば違うのですが)との距離を測定して、車高を調整していきます

 ピットウォークと唯さんのTシャツ撮影が終わった頃、メカニックによるサスペンションの交換作業が始まりました。大抵前後に2本の棒が取り付けられています。これは床面と棒の高さで車高を見るためのもの。浅見さんは他のメカニックに指示を出したり、みずからダンパーのスプリングを変更していきます。車両はパーツごとに担当を決めているそうで、足回りは浅見さんの担当なのだそう。大忙しです。

幾度となく調整をし、測り、そして調整を繰り返していきます

マシンのセッティングをする浅見さん

 作業はサスペンションを組み立てる人、サスペンションを取り付ける人、その後マシンを揺らす人、高さを測る人、とメカニックチームの見事な連携で進められます。浅見さんが調整しては、他の人がマシン全体を揺らし、違う人が高さを計測。浅見さんがメモをとって、またいじる、を繰り返します。その間、特に指示出しなどはなく、あうんの呼吸で作業が進められていきます。残された作業可能時間を確認しながら、幾度となく作業を繰り返す浅見さん。

ドライバーアピアランスが終わり、他チームと談笑をするドライバーの2人

 お昼前、ドライバーアピアランスとよばれるドライバー紹介の時間が終わると、ドライバーは他チームのドライバーと会話。レースクイーンの2人は、日光でドライバーの体力が消耗しないよう日陰をつくるために傘を差します。

ウォームアップ走行前の様子

ドライバーがピットに戻ったときに飲むドリンク

 13時。マシンの調整作業は終えたメカニックは、耐火スーツ姿に着替えてヘルメットを着用し、ウォームアップ走行の時を待ちます。エンジンに火が入りピット内にエンジン音が響き渡ると、あまりの爆音に、耳をふさぎたくなるほど。気づけばドライバーが戻ってきた時に飲むドリンクの用意もされていました。

ドライバーを迎え入れ、準備万端

ウォームアップ走行中のModulo NSX-GT

 ドライバーがマシンに乗り込みコースイン。マシンにとって、この日、初めての走行です。メカニックたちの調整は功を奏するのでしょうか? メカニックはかたずを飲んでマシンの帰りを待ちます。

ウォームアップ走行後、またしても会議が……

 ウォームアップ走行が終わりチームにマシンが戻ってくると、ドライバーと中嶋監督、浜島さんが何やら会議。その後、エンジニアや本間監督も加わって大会議へ発展します。

マシンをグリッドへ送り出すメカニックたち

スターティンググリッドで独りマシンを待つ唯さん

 スタートドライバーの伊沢選手がマシンに乗り込み、唯さんが待つグリッドへ向かいます。この時間帯、グリッドボードを持つレースクイーン以外、誰もコースに立ち入ることができません。30分以上、チームから離れ独りぼっちの唯さん。コースでたたずむ姿は、まるで漁に出た夫の帰りを待つ妻のようです。マシンが自分が待っているグリッドの元にやってくる光景をみることができるのは、選ばれたレースクイーンのみの特権。プレスはもちろん、メカニックでさえ、この光景を体験することはできないのです。

マシンが出た後、メカニック達は工具などを持ってピットレーンへ

一斉にメインストレートへ向かうチームスタッフ

 マシンを送り出した後、スタッフ全員がタイヤやら何やらの荷物を持ってグリッドへ向かいます。その間、ピットロードはラッシュ時の駅ホームのような混雑ぶり。全車両がグリッドにつき、エンジンが止まってから、一斉にメカニックがコースインします。

メインスタンドには多くのファンが今か今かとスタートの時を待ちます

 この日の富士スピードウェイには4万4000人のファンが詰めかけました。GW中ということもあり、SUPER GTシリーズでも最も観客動員数の多い大会です。それはすなわち、F1を除いて1年で最も観客動員の多いモータースポーツイベントということになります。

グリッドに立つ唯さん

アップで1枚。目がドヤっています

 そんな注目度の高いイベントということもあって、グリッドボードを持つ唯さんはちょっとドヤ顔気味。

グリッドに停車した64号車のModulo NSX-GT

サスペンションを調整するメカニックたち

運転席側から調整等をする浅見さん

 一方、メカニックたちは、いきなりリアのカウルを外して作業を始めるではありませんか。なんとグリッド上でサスペンションのセッティングの微調整! グリッドで作業できる時間は30分ほど。はたして間に合うのでしょうか?

フロントカウルも開けて作業

 作業は、フロント側も実施。作業はあっという間に終了。そのチームワークと作業の速さにはただただ唖然とするばかりです。そしてドライバーが乗る準備などもメカニックの仕事。随所に心憎い気配りをされていました。

ドライバーがマシンに乗り込む際、シューズの裏のゴミを取るためのマット

 そのひとつが、ドライバーが乗り込む際に、シューズの裏についたゴミや水をふき取るためのカーペット。繊細なペダルワークをする上で重要なことです。ちなみに雨の日は、このカーペットが濡れないようにする工夫がなされています。他にもグリッドウォークでは様々な工夫をみることができます。現在、SUPER GTでは一般の方のグリッドウォークはできませんが、解禁されたら一度足を運ばれることをオススメします。

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