グーグルがタブレットに注力するのはファーウェイのせい?
もうひとつ、グーグルがタブレットに注力せざるを得なくなったのは、ファーウェイのせいではないか。
トランプ政権による禁輸措置により、ファーウェイはAndroidを採用できず、スマートフォンやタブレット、さらにはスマートウォッチで独自のOSに切り替えざるを得なくなった。
スマートフォンにおいて、アップルやサムスン電子の座を脅かす存在にまでなったファーウェイがAndroidを使えなくなるということは、それだけ世界において、Androidのユーザーが減ってしまうことになる。
当然、Android端末からの検索で儲けているグーグルにとっては死活問題だ。とはいえ、ファーウェイに変わるメーカーと言えば、OPPOやシャオミの名前が挙がるが、いまのところファーウェイほどの存在感にはなっていない。
Apple Watchに対抗しようと、グーグルではスマートウォッチ向けOSとしてWear OSをサムスン電子とともに展開しているが、Wear OSを採用するスマートウォッチのヒット商品がなかなか出ていない。
かつて、ファーウェイはAndroidベースのスマートウォッチにも積極的であったが、禁輸措置によって、自社開発のHarmonyOSに切り替えてしまった。
グーグルとしてはファーウェイに代わるスマートウォッチメーカーが欲しいところだが、LGエレクトロニクスもスマートフォンから撤退するなど、サムスン電子以外に頼れるメーカーがいない。そこで、グーグルとしては重い腰を上げて自社で「Pixel Watch」を今年の秋に発売することにしたのではないか。
アップルはiPhoneを中心にiPad、Apple Watch、さらにはMacBookなど、OSとハードウェアを一緒に手がける垂直統合モデルで、独自の世界観を確立している。ユーザーはApple IDですべてのデバイスが連携する「利便性」から抜け出せなくなっている。
グーグルとしては水平分離で様々なメーカーとコラボすることで、Androidの世界を広げてきた。しかし、様々なデバイスにおける「統一感」という点においてはアップルの後塵を拝していた。グーグルはスマートフォンのPixelシリーズを中心にタブレットとスマートウォッチも手がけることで、Pixelワールドを広げたいのだろう。
ひょっとすると、ファーウェイが抜けた穴はグーグル自身が埋めてくるのかも知れない。