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グーグル予想外「Pixel祭り」になった開発者会議、市場でのファーウェイの穴埋めか?

2022年05月12日 12時20分更新

文● 石川 温 編集●飯島恵里子

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 6月11日(米国時間)、グーグルは開発者会議「Google I/O 2022」の基調講演を行った。ここ数年、コロナ禍ということで、中止になったり、オンラインでの開催であったが、今年はオンラインがメインでありながら、会場には一部の開発者が集うなど、かつての雰囲気が戻りつつあった。

 通常、Google I/Oの基調講演は同社のAIやサービスの進化が語られ、ハードウェアはスマートフォン・Pixelのaシリーズが披露される程度であった。しかし、今年は「Pixel祭り」といえるほどハードウェアの新製品発表が盛りだくさんであった。

 発表されたハードウェア群を見ると、グーグルの「方向転換」が見えてくるような気がしてならない。米中の禁輸措置とコロナ禍によって、グーグルのハードウェア戦略が変わってきたのだ。

 まず、注目したいのがタブレットだ。グーグルは2023年にタブレット「Pixel tablet」を発売すると予告した。まさか下手をしたら1年、早くても半年近く先に発売になる製品を、このタイミングでアナウンスするとは思わなかった。

 しかも、グーグル自体が自身のブランドでタブレットを手がけてくることが「予想外」に感じたのだった。

 実は筆者はコロナ禍になる前は毎年、Google I/Oには現地に取材に出かけていた。その際、グーグルの幹部と懇談できる会があるのだが、今回の基調講演でもハードウェアのプレゼンをしていたリック・オステルロー氏に数年前「グーグルはタブレットをどうするつもりなのか」と単刀直入に聞いたことがあった。その際、オステルロー氏は「Androidタブレットはやらない。Chromebookで市場を獲っていく」と語っていたのだ。

 確かに当時からアメリカの教育市場を中心にChromebookはよく売れていた。一方でAndroidタブレットは中国メーカーを中心に安価な製品ばかりが並び、メーカーにとって儲からないデバイスとなっていた。利益の出ないAndroidタブレットより、すでに市場ができているChrombookに注力する方が現実的なのは納得であった。

 あれから3年以上が経過し、突然、グーグルは「自分たちでもタブレットをやる」と言い始めた。何があって、彼らはタブレットに注力するようになったのか。

 ひとつにはコロナ禍によって、タブレットの需要が高まったというのが大きいだろう。自宅でビデオ会議に参加したり、Netflixを見るのにタブレットはちょうどいいデバイスだ。アップルのiPadがバカ売れしている様子を見て、グーグルも考えを改めたのだろう。

 今回の基調講演ではAndroid 13の中身も公表されている。Android 13では大画面ディスプレイを意識して、画面を半分に割り、2つのアプリを同時に開き、ファイルをコピーできると言った、まるでiPadOSのようなユーザーインターフェースが採用されていた。

 大画面の操作性を向上させることで、タブレット市場においてAndroidを再び、存在感のあるものにしたいようだ。

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