世界のスマートフォンシェアは1位サムスン、2位アップル、3位シャオミとつづき、4位5位をOPPOとvivoが争っています。一方、中国国内では1位がvivo、2位OPPOで、そのあとにシャオミ、アップル、Honorと続き、グローバルとは様相が大きく異なっています。ファーウェイが大きくシェアを落とした後、世界最大のスマートフォン市場で1位を取るためにOPPOもvivoも次々と新製品を出しているのです。
シャオミやOPPOグループ企業のrealmeはノートPCなども出しており、デバイスの製品の幅を広げています。OPPOとvivoは長らくスマートフォンに特化していましたが、近年はスマートウォッチやワイヤレスヘッドフォンなどウェアラブルにも進出。そして2022年にはついに両社から中国でタブレットが発売されました。
どちらの製品もスペックが非常に似通っていますが、これは「一番売れるタブレット」を製品化したからでしょう。実はシャオミの「Xiaomi Pad 5」ともスペックは似ており、11型ディスプレーのタブレットは今、最も人気の製品になっているようです。ということで、OPPOとvivoのタブレットを比較してみました。
2月24日に発表された「OPPO Pad」はSnapdragon 870、メモリー/ストレージ構成は6/128GB、6/256GB、8/256GB、11型液晶ディスプレー(2560×1600ドット)は、120Hzのリフレッシュレートに対応し、8630mAhバッテリーは33W充電が可能です。価格はそれぞれのメモリー構成ごとに2299元(約4万5000円)、2699元(約5万3000円)、2999元(約5万9000円)です。
4月11日に発表された「vivo Pad」はSnapdragon 870、メモリー/ストレージ構成は8/128GB、8/256GB、11型液晶ディスプレー(2560×1600ドット)、リフレッシュレート120Hz対応、8040mAhのバッテリーは44W充電が可能です。価格は2499元(約4万9000円)、2999元(約5万9000円)。両者基本スペックはバッテリーに差があり、OPPO Padはより大容量、vivo Padはより高速充電に対応します。同じ8/256GB構成のモデルの価格は変わりません。
本体サイズはOPPO Padが252.2×163.8×6.99mm、重さは507g。ただし紫モデルは厚み7.05mm、重さ510gと若干アップ。これは紫モデルのみ背面を9層仕上げとし、表面はきらめきのある美しい反射効果を生み出しています。また銀モデルは世界的なデザイナー、ジェームズ・ジーン氏の作品をフラッシュサンドテクノロジーで彫り込んでいます。背面は上側の1/3ほどにOPPOのロゴをデザインして配置しており、外観の美しさも特徴になっているのです。
vivo Padは253.2×164.7×6.6mm、重さは489g。OPPO Padより薄く仕上げることで重量もわずかに軽量にしています。vivo Padはこのあと紹介するキーボードを装着したビジネス用途を重視しているのか、本体は少しでも軽く、という設計にしたのかもしれません。
かなり似通った性能を持つ2製品ですが、カメラ部分の設計には大きな違いがみられます。OPPO Padは1300万画素カメラを1つ搭載しますが、vivo Padは1300万画素の広角と800万画素の超広角の2眼。さらにカメラ周りのデザインは円形とし、vivoのハイエンドモデル「Xシリーズ」をイメージさせるものになっています。vivoのほうがより広いカメラの利用を考えているようです。
さてどちらの製品もスタイラスとキーボード型カバーが用意され、ビュワーとしてだけではなくクリエイティブなツールとしても利用できます。しかしこの周辺機器についても両者の方向性はやや異なっているようです。OPPO Padの製品ページを見ると、トップにはスタイラス「OPPO Pencil」を使う写真が掲載されています。またOPPOの販売ページでもスタイラスはOPPO Padと並んで表示されており、タブレットとスタイラスを一緒に買ってもらおうと考えているようです。
vivo Padの製品ページはキーボードカバーとスタイラスを装着し、さらにスマートフォンとの画面共有をするという、ビジネスツールとしての使い方を大きくアピールしています。実はvivo Padはvivo初の折りたたみスマートフォン「vivo X Fold」や大型の7型ディスプレー搭載「vivo X Note」と同時に発表されており、3つの大画面モデルを同時に投入することで新たなユーザー層を開拓しようとしているのでしょう。
それぞれの周辺機器の価格を見ても、「売りたい製品=より高価格」のようで、両者の思惑が見えてきます。もちろん性能の差もあるので一概にそうとは言えないでしょうが、各製品価格を見ると「なるほど」なんて思えてしまいます。
- OPPOキーボードカバー:399元(約7800円)
- OPPO Pencil:499元(約9700円)
- vivoキーボードカバー:599元(約1万1700円)
- vivoスタイラス:349元(約6800円)
ちなみに中国で販売されているシャオミのXiaomi Pad 5(8/256GBモデル)と周辺機器の価格は以下の通りです。OPPO Padとvivo Padの本体・周辺機器の価格付けはこの影響を大きく受けているでしょう。
- Xiaomi Pad:2599元(約5万1000円)
- キーボードカバー:399元(約7800円)
- スタイラス:349元(約6800円)
Xiaomi Pad 5はAndroidタブレットとして高性能かつ高コスパな製品であり、日本でもよく売れています。同じ価格帯の製品となるOPPO Pad、vivo Padも日本で売ったら人気製品になるかもしれません。日本未参入のvivoは難しいかもしれませんが、OPPOにはぜひ夏の新製品としてOPPO Padを日本で発売してほしいものです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第731回
スマホ
スマホ世界シェア4位をうかがう「Infinix」から激薄モデルや折りたたみが続々 -
第730回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った - この連載の一覧へ