私たちは1日に驚くほど冷蔵庫を開けていた!
人は1日に冷蔵庫を何回開けるのか? センシングで明らかにしよう
ASCII編集部の貝塚によるSORACOM体験記をお送りする。第5回は、第4回で自宅の冷蔵庫に設置したソラコム IoTストアで購入できる「IoT体験キット」から取得したデータを見てみる。
IoTセンサーで冷蔵庫の開閉の回数をデータ化
ソラコムの直販サイト「SORACOM(ソラコム)IoTストア」で購入できるIoTデバイスとSORACOMのサービスを試用する本連載。第4回で、自宅の冷蔵庫にソラコム 「IoT体験キット」を設置した。その目的は、一日に冷蔵庫を何回開け閉めしているかを明らかにするためである。
IoT体験キット〜磁気センサー〜は通信機能を持った磁気センサーと、開閉を検知するためのマグネットのパーツをセットにしたもの。SIMも本体に内蔵されており、組み立てをして、ソラコムのコンソールに登録すれば、すぐに使用が開始できる。
IoT体験キット〜磁気センサー〜は、磁石と磁石が離れる際に起こる磁界の変化を、センサーが検知するという仕組み。取得できるデータは単純に、“何回開けたか”である。正確に言えば、冷蔵庫は開ければ必ず閉めるものなので、センサーが1回反応したということは、“1回の開閉があった”ことを意味する。
人は、1日に何回冷蔵庫を開けているのか
センサーによって取得したデータを参照するには、SIMを登録したアカウントでSORACOM ユーザーコンソールにアクセスし、対象のSIMにチェックを入れた後、「データを参照」をクリックする。
データはグラフでも参照できるが、今回は冷蔵庫の特性上、1日の開閉の回数が多く、自ずとグラフ1本1本の幅が狭くなってしまい、見にくい。
なんとなく、朝、昼、夜に開閉の活発な時間帯があることはうかがい知れるが、今回の場合、正確な数を把握するには、グラフは向かないようだ。
SORACOM ユーザーコンソールでは、グラフに加工される前の生データも参照することができる。生データの状態なら、「何月何日の何時何分何秒にセンサーが反応したのか」を確認でき、正確に数を数えることも可能だ。
ひとつ言えることは、グラフを見ても、生データを見ても、想定より冷蔵庫を開けているらしいこと。じゃあどれくらいを想定していたのかという話だが、正味の話、読者の皆さんは、人が冷蔵庫を1日にどれくらい開けると考えているだろうか? 私は「せいぜい15回とか20回くらいかな」と予想していた。ところがSORACOM ユーザーコンソールを見る限り、まったくそんな範囲には収まっていないようだ。
3月のあいだずっとデータ取得していたので、その期間すべての開閉の回数を数えるのは、さすがに難しい。そこで、取得したデータの中から、随意に3日間のデータを選択し、簡易に開閉回数の平均と傾向を求めることにした。その結果が以下である。
2022年3月2日
02:00台 1回
07:00台 1回
08:00台 8回
09:00台 3回
12:00台 1回
13:00台 7回
14:00台 4回
16:00台 2回
17:00台 4回
18:00台 12回
19:00台 5回
20:00台 5回
21:00台 1回
22:00台 3回
合計56回
2022年3月18日
08:00台 2回
11:00台 3回
13:00台 9回
16:00台 4回
17:00台 10回
18:00台 8回
19:00台 12回
20:00台 4回
21:00台 1回
合計53回
2022年3月24日
09:00台 6回
10:00台 3回
11:00台 1回
13:00台 8回
16:00台 12回
17:00台 5回
18:00台 7回
19:00台 4回
20:00台 6回
21:00台 3回
合計49回
核家族3月2日、3月18日、3月24日の開閉の回数は、それぞれ56回、53回、49回となった。平均は52.6回であり、どの日もおおむね50回前後で共通している。さらに、夕方〜夜に2ケタ開閉する時間帯が1回以上ある。朝起きて初めて冷蔵庫を開けるタイミングは日によって異なり、最後に開けるのは基本的に21時台か22時台だが、深夜に開けることもある。
というわけで、私の15〜20回という予想はまったく的外れで、実際にはその3倍程度、我が家では冷蔵庫を開閉していたことがわかった。我が家は1人の子を持つ3人世帯、いわゆる核家族である。生活スタイルに照らし合わせると、食事の用意をするタイミングでは活発な開閉があるが、それ以外の時間帯においても、断続的に開閉されている。思っていたよりも、飲み物を取り出したりしているのだろう。「大人は我慢できるが、1歳の子どもは食事を待ち切れない」というシーンも度々あり、大人と子どもで食事の時間がずれることもある。
また、食事の準備をするときは、開閉は一回で済むわけでなく、一度取り出した食材を切り分けて元に戻したり、使うまで冷やしておいた方がいい食材を、ある程度下ごしらえが済んでから取り出したりするので、その分開閉も多くなっていると想像する。
面白い! センシングによって、冷蔵庫の使い方が可視化できただけでなく、そこから生活スタイルもなんとなく見えてくる。冷蔵庫の開閉回数がわかったからといって、一般家庭ではそれを利益につなげることは難しいかもしれないが、万歩計の数値や、スマートウォッチで取得したバイタルデータを健康管理の指針にしたりする面白さに通ずるものがある。センシングって、こんなに楽しいものなんだなあ。
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