レノボ・ジャパンとLESのパートナー窓口を統合、PC/サーバーをまたぐ提案をワンストップ支援
複雑化する企業課題の解決を、レノボが新パートナープログラム「Lenovo 360」発表
2022年04月20日 07時00分更新
レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES)の2社は2022年4月19日、法人向けビジネスに関する事業戦略説明会を開催した。ビジネスと社会の“非連続な変化”が続く中で、顧客企業の課題はより一層複雑化しており、レノボが持つ「ポケットからクラウドまで」の幅広いソリューションの提供によって解決していく方針を強調した。
また、複雑化が進む顧客課題の解決にはパートナーとの協力関係も不可欠であることから、これまでレノボとLESに分かれていたパートナー担当組織やポータルサイト、インセンティブ(報奨金)プログラムなどを一本化する「Lenovo 360パートナープログラム」を日本でも展開すると発表した。パートナーがレノボのPCデバイスやサーバー、プロフェッショナルサービスなどを融合した提案を行いやすくする狙いがある。
昨年度はサービス&ソリューションにも注力
説明会ではまずレノボ・ジャパン 社長のデビット・ベネット氏が、昨年度の法人向けビジネスの動向について説明した。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大が引き続き世界に大きな影響を及ぼす一方で、ビジネスと社会のDX/デジタル化によってあらゆる場面でコンピューティングパワーの活用が進んだ。IT業界としては、半導体不足やグローバルサプライチェーンの課題が浮き彫りになった1年でもあった。
顧客のDXを横断的にサポートするために、レノボはグローバルで組織を大きく3つに整理した。インテリジェントデバイスグループ(IDG)、インフラストラクチャソリューションズグループ(ISG)、ソリューション&サービスグループ(SSG)の3つだ。このうちSSGは、レノボがハードウェアだけでなく、サービスとソリューションにもフォーカスしていくため、新たに設立された部門である。
こうしたストラテジー(戦略)をとった結果、非常によい業績を残すことができたとベネット氏は説明する。FY2021Q3(2021年10~12月期)のグローバル業績を見ると、売上は前年同期比17%増、純利益は同 62%増と大きく伸びている。
「こうした業績が残せた理由は、顧客企業が進めているDXのニーズをうまく捉えられたからだと考えている」「2021年は、ただ製品を売るだけでなく、それらを使い始めるためのソリューションも一緒に提供したことが(過去との)大きな違いだ」(ベネット氏)
ちなみに、製品に有償サービスを付与して販売するアタッチレートがグローバルで一番高かったのは日本市場だという。
ただし「ポケットからクラウドまで」のソリューションを持つレノボの力はこれだけにはとどまらないと、ベネット氏は強調する。「グループの力をひとつにすれば、レノボの持つポテンシャルをまだまだ発揮できると考えている。これが今年度のチャレンジだ」。
“不連続な変化”が続く中で企業の課題も複雑化
続いてLES 社長のジョン・ロボトム氏が、今年度の法人向けビジネスにおける取り組みの方針を説明した。
ロボトム氏はまず、同社のCIO調査レポートから日本企業のテクノロジー部門における変化を紹介した。この調査結果からは、日本企業においてもIT部門の責任がビジネス領域にも及んでいること、コロナ禍が始まった2年前よりも大きな戦略課題に直面していること、ITインフラの大幅な刷新を望んでいることなどが読み取れる。
「これはやはり、デジタルトランスフォーメーション(DX)というものがはっきりと数字として表れていると解釈できるものだと考えている」(ロボトム氏)
5G、エッジ、AIなど、企業を取り巻くテクノロジートレンドも目まぐるしい変化が続いている。そうしたテクノロジーを「ビジネス貢献度の高いかたち」と「タイミング」で提供することがレノボの果たすべき役割であり、それをふまえて昨年度の組織変更を行い、また今年度も取り組みを強化していくと説明する。
ロボトム氏は、DXによるトランスフォーメーション(変革)には「ビジネス」「ワークスタイル」「ソーシャル(社会)」の3つがあると述べ、それぞれにかかわる顧客事例を紹介した。
トヨタ自動車では、設計業務の中核をなすCADをレノボのソリューションでVDI(仮想デスクトップ)化することにより、設計開発エンジニアの働き方を改善した。牧田総合病院では、サイロ化していたレガシーシステムをHCIに仮想化集約し、コストの削減とメンテナンス負担の軽減、さらに将来のクラウド化への備えを行った。大阪大学 核物理研究所では、レノボのHPCシステムを採用して、パフォーマンスとデータセキュリティの要件を満たした。
レノボ+LESが一体となりパートナーを支援「Lenovo 360」
ロボトム氏は「顧客のDX支援は、レノボ自身でできることだけではない。パートナーと協業しながら、顧客のDXを達成していくというのが非常に大きなポイントであり、われわれもフォーカスしている」と語る。
そのために、今月から日本でも本格的にスタートしたパートナープログラムが「Lenovo 360」である。グローバルで展開が始まっているLenovo 360は、クライアントデバイス、データセンター製品、サービスまでを組み合わせた顧客提案をパートナーが推進できるようにする取り組みだ。
具体的にはまず、これまでレノボ・ジャパンとLESに分散していたパートナー営業組織を統合し、ワンストップのパートナー窓口としてレノボ・ジャパン内にパートナー事業本部を新設した。また、両社に分散していたインセンティブプログラムについても統合を行う。加えて、製品情報の提供や見積もり作成支援、共同マーケティングまでの機能を提供するポータル「Lenovo Partner Hub」を国内で本格展開開始する。
新設されたパートナー事業本部の責任者である荒木俊彦氏は、複雑化が進む顧客課題に対して「パートナーと共により深く、幅広い解決策を顧客に提供したい」と、その狙いを説明する。レノボ・ジャパンのクライアントデバイス群とLESのインフラ製品群、さらにサービスやソリューションを“一気通貫”でカバーすることで、顧客ニーズに応じた複合的な提案がシームレスに可能になると説明した。
「まずは既存のパートナー、PC分野のパートナーを中心にこれから(データセンター製品やサービスの)クロスセルを図っていき、さらに新たなパートナーの開拓も進めていきたい」(荒木氏)
現在、レノボのパートナープログラムに参加するパートナー数は「3ケタ規模」(荒木氏)であり、まずはそこからスタートしつつ、新たなパートナーの取り込みにもつなげる方針だ。
またベネット氏は、Lenovo 360の提供によってレノボのビジネスそのものの拡大も期待していると語った。
「現状ではクライアントデバイスのビジネスが強いが、顧客企業のニーズも変わってきており、サーバーのビジネスにはまだ伸びがあるのではないかと考えている。“ワンチーム、ワンレノボ”として、われわれはPC、デバイス、タブレット、サーバー、ソリューションまで、ひとつの窓口として提供できる。その意味で、Lenovo 360はビジネスを伸ばすのではないかと思っている」(ベネット氏)