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位置情報ビッグデータが解決する地域課題

須賀川南部地区エリアプラットフォーム「ウォーカブルな中心市街地を形成するための人流分析および購買・消費分析」

GPSとキャッシュレスデータで地方都市を分析、公共・ビジネス課題が見えた福島県須賀川市

文●森嶋良子 編集●ASCII STARTUP編集部

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 須賀川市は福島県の中央に位置する人口約7万5000人の豊かな自然に恵まれた地域だ。かつては奥州街道の宿場町として栄え、松尾芭蕉が滞在するなど歴史文化がある。また特撮の円谷英二生誕の地でもあり、観光資源は豊富である。しかし他の地方都市と同様の少子高齢化や、町の中心部の空洞化などの課題を抱えている。また、東日本大震災では甚大な被害を受けた地域でもあり、復興に向け様々な取り組みを進めている。

 中でも商業施設や行政施設をようする須賀川南部地区は同市の中心的地域に当たる。国土交通省が実施する「官民連携まちなか再生推進事業」を活用して、官民の多様な人材が参画するエリアプラットフォームを構築し、行動指針である未来ビジョン「みちしるべ」を策定。10年計画で持続可能なまちづくりの推進計画を実施している。

 国交省が実施する「携帯電話の位置情報データを活用した実証実験事業」への参画もこの一環として行われたものだ。3月に開催された「須賀川南部地区まち育てフォーラム2022」では、調査報告とその結果を踏まえたパネルディスカッションが実施された。

移動データによって明らかになった市民の回遊状況

 まず、調査事業を実施したNTTタウンページの三友氏により、実証実験の調査報告が行われた。

 始めに発表されたのは、須賀川市全域の住民の回遊状況の分析結果だ。移動実態の把握には、ゼンリンデータコムのGPSデータ混雑統計を利用した。滞在者数や回遊状況を性別や年齢別に把握できるため、どのような人がどのエリアを利用しているかの傾向をつかめる。

 須賀川市全域を6つのエリアに分けて比較したところ、多くの商業施設がある中心市街地への移動が多いことから、多少の距離があっても中心市街地へ買い物へ行くという行動が推測できる。

 またエリアによっては回遊者の性別に年齢に偏りがあることがわかった。たとえば、中心市街地エリアでは女性の比率が高い。さらに、コンテンツ分析として施設・イベントごとに来訪者数の傾向を分析したところ、冬の来訪者が少ないことがわかり、冬の集客に向けたコンテンツという課題が明確になった。

GPSデータから分析した須賀川市の回遊状況。地域別でみると新市内と旧市内地区の滞在者数が多い。女性割合も高いなど、明らかに差異があることがわかる

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