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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第25回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月19日~3月25日分

日本企業の3割が「より小さいオフィスへ」、現在のランサムウェアは「四重の脅迫」狙う、ほか

2022年03月28日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年3月19日~3月25日分)は、日本のブランドランキング、ERP市場の変化、ランサムウェア攻撃の現状、ハイブリッドワークに対する国内外の温度差、サブスク型企業の成長率についてのデータを紹介します。



■[ブランド][生活]ブランド・ジャパン発表、「YouTube」が3年連続トップ(日経BPコンサルティング、3月25日)
・一般生活者編のトップは「YouTube」、調査開始以来初の3年連続首位
・トップ5は「YouTube」「Google」「日清食品」「無印良品」「楽天市場」
・ビジネス・パーソン編のSDGs活動認知度は、味の素の「貧困をなくそう」がトップ

 年次ブランド価値評価プロジェクト「ブランド・ジャパン2022」より。今年で22回目で、調査期間は2021年11月~12月、6万2000人より回答を得た。一般生活者編が選ぶ“強いブランド”評価ではYouTubeが初の首位、2位以下は「Google」「日清食品」「無印良品」「楽天市場」と続く。YouTubeはコロナ禍での在宅時間の増加、コンテンツの充実などが利用者増加に貢献。シニアの利用も増え、45~64歳の75%がYouTubeを視聴しているという。総合力が最も伸びたのは「楽天市場」。調査結果からは、企業のサステナビリティへの取り組みがブランド力向上に良い影響をもたらしていることもわかっている。

一般生活者編トップの「YouTube」は「イノベーティブさ」への評価が突出している(出典:日経BPコンサルティング)

総合力上昇ランキング。「楽天市場」「湖池屋」「チキンラーメン」がトップ3だ(出典:日経BPコンサルティング)



■[ERP]電帳法改正も後押し、2021年度のERP市場は2桁成長へ(アイ・ティ・アール、3月24日)
・2020年度のERP市場はやや低調、前年度比6.9%増にとどまる
・2021年度は2桁成長を予測、リニューアル案件、新規案件がともに増加傾向
・提供形態別の2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR)はSaaSが25.1%、パッケージは0.2%

 国内ERPの提供形態と運用形態別の市場規模推移および予測をまとめた。2020年度のERP市場は、営業活動の低下や案件先延ばしといったコロナ禍の影響があり、前年度比6.9%増にとどまった。一方で2021年度は、リニューアル案件、2022年4月施行の改正電子帳簿保存法への対応などで復調傾向にあり、前年度比14.6%の増加を予想。提供形態別では、2020年度のパッケージ市場は前年度比2.4%減、対してSaaSは同27.2%増となった。パッケージ市場における運用形態の変化(2019年度~2021年度)を見ると、オンプレミスは縮小、IaaSは20%前後の成長。

国内ERP市場、提供形態別の規模の推移と予測(出典:ITR)



■[セキュリティ]ランサムウェアの感染経路はVPNがトップ、二重脅迫など高度化(キヤノンマーケティングジャパン、3月16日)
・マルウェア検出数は2020年下半期がピーク、21年は減少傾向に
・ランサムウェアの感染経路は54%がVPN機器
・ランサムウェア攻撃では、暗号化と機密情報暴露の「二重の脅迫」が85%

 「2021年 サイバーセキュリティレポート」より。2018年上半期を100%としたマルウェア検出数は、200%に達した2020年下半期以降、減少傾向にあるが、2021年は上半期と下半期、共に150%以上で推移した。「2021年サイバー攻撃の主役」とするランサムウェア攻撃の経路は、54%が「VPN機器」、20%が「RDP」だった。リモートワークの広がりにより、社外からアクセスできる環境が増えたためにこれらの経路が狙われたと分析している。

マルウェアの検出数の推移。2018年上半期より高いレベルで推移している(出典:キヤノンマーケティングジャパン)

ランサムウェアの感染経路はVPNが54%(出典:キヤノンマーケティングジャパン)

現在のランサムウェア攻撃では、「ファイルの暗号化」だけでなく脅迫が二重、三重、四重になっているという(出典:キヤノンマーケティングジャパン)



■[働き方]日本企業はハイブリッドな働き方への関心が低い?「準備は万全」は16か国中最下位の30%(Poly、3月24日)
・ハイブリッドワークへの準備は、日本は16カ国中最下位
・ハイブリッドワークを「継続するつもりはない」日本企業は9%、16カ国中最多
・グローバルでは72%の企業が「ハイブリッドで生産性が向上」と回答

 米Poly(旧社名:ポリコム、Plantronics)が日本を含む16か国・2500社の意思決定者に、職場の方針、文化などについて調べた「Recruit, Retain and Grow」より。ハイブリッドな働き方へのアプローチについて「万全の準備ができている」と回答した日本企業は30%で、16か国中最下位。「短期的な準備をしているが、長期的計画は考えていない」とした日本企業は51%で、最も多かった。オフィス設計の見直しに着手している企業は77%、日本企業の32%が「より小さいオフィスに移る」と回答した。これは16か国中最多という。調査では、企業が「ハイブリッドな働き方を導入しなければ社員を失う」と考えていることもわかった。



■[ビジネス]サブスクリプション型企業は、S&P 500平均を上回る成長率(Zuora Japan、3月23日)
・2021年のサブスク型企業の成長率は16.2%、S&P 500平均の12%を上回る
・SaaS企業の2018~21年のCAGRは19.4%
・解約率は低下、前年比14%改善

 サブスク型ビジネスモデルをとる企業(SEI企業)の動向をまとめた「Subscription Economy Index」レポートの最新版。2021年通年のデータを基に算出した。SEI企業の2018~21年の4年間のCAGRは17%、これはS&P 500平均の12%を上回っているという。中でもSaaSのCAGRは19.4%と突出しているが、この理由について同社は「SaaSはサブスクの導入が早くサービスが洗練されているため」と分析している。

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