FSR 1.0非対応ゲームでも利用可能な「Radeon Supere Resolution」
Radeon Software: Adrenalin Editionで最も注目すべき機能は「RSR」こと「Radeon Supere Resolution」の存在だ。
RSRを一言で言い表せば「ゲーム側の対応が不要なFSR 1.0」、即ちゲーム内部のレンダリング解像度を落としてGPU負荷を下げつつ、ディスプレー解像度に合ったアップスケール&シャープネス処理を施すことで、見た目の劣化を最小限にしつつフレームレートを稼ぐ技術だ。
類似技術としては昨年ライバルNVIDIAが発表した「NIS(NVIDIA Image Scaling)」があり、これもFSR 1.0やDLSSに対応しないゲームでも利用できるアップスケーラーである(解説記事:https://ascii.jp/elem/000/004/075/4075333/)。NISが“GeForce専用の”ゲーム側の対応を問わないアップスケーラーだが、RSRは“Radeon専用の”ゲーム側の対応を問わないアップスケーラーということだ。
RSRの動作要件はRX 5000シリーズ以降のRadeon、もしくはRyzen 6000シリーズ(モバイル)を搭載した環境に、Radeon Software: Adrenalin Edition(22.3.1以降)を組み込むことが必須となる。
ライバルのNISはかなり旧いGeForceまで遡って利用できるが、RSRはRDNA世代以降のRadeonに限定される、という点は少々残念だ。APUに関しても既存のRyzen Gシリーズは全てVegaベース(RDNAの前世代)であるため、RSRの動作要件は満たさない。
FSR 1.0は非AMD製GPUであれば動く懐の広い技術だが、RSRはゲーム側の対応が不要なかわりに対応Radeonが絞られているのだ。
であればFSR 1.0など要らないように思えるが、FSR 1.0はゲーム画面の3D的な部分のみを低解像度からアップスケールし、HUD(体力ゲージや照準など)要素は物理解像度のままで表示できるが、RSRはゲーム画面全体がアップスケールされるため、設定次第では文字等が滲む可能性が出てくる。
またRSRは“排他的フルスクリーン”、英語で言うとExclusive FullscreenとかPrivate Fullscreenが利用できるゲームが必要となる(これにも例外はある)。
ボーダーレスやウインドウ表示で遊びたい場合はデスクトップ全体の解像度を変更する必要がある。これらの制約もNISと共通だが、FSR 1.0はそれを気にする必要はない。RSRはFSR 1.0が利用できないシチュエーションで第2の選択肢として使うという感じだ。
以下に簡単ではあるがRSRの利用方法について解説する。NISと同様にドライバーレベルで有効化した後ゲームを起動、ゲームの解像度を「物理解像度よりも低く」設定することで有効化される。前述の通りボーダーレスやウィンドウ表示にしたい場合はゲームの解像度ではなく、デスクトップの解像度を下げればよい。
RSRが本当に有効になっているかの確認についてはNISのような分かりやすいインジケーターがなく、ゲーム中に「Alt+R」でオーバーレイを出す以外にない。このオーバーレイの反応が今ひとつ遅く、オーバーレイを解除するのにマウスクリックが必要など、まだ使い勝手の上で洗練されていないようだ。
また配信勢には気になる外部ツール(OBS Studio)によるキャプチャーだが、ざっくりと試した限りでは「ゲームキャプチャー」や「画面キャプチャー」を利用して問題なくキャプチャーできていた。
NISは当初外部ツールによるキャプチャー不可となっていたが、現時点ではNISもキャプチャーできている。この点においてはRSRもNISも同等といえるだろう。
実際RSRを使うと画質やフレームレートがどう変化するかについては、別途記事を改めて検証することとしたい。