Box Japanは3月9日、国立文化財機構 奈良文化財研究所および文化財防災センターが、文化財情報の長期保存と効果的な活用、災害対策、そして職員の業務最適化を目指し、IT基盤にBoxを採用したと発表した。
奈良文化財研究所は、平城宮跡や飛鳥・藤原宮跡の発掘調査をはじめ、文化財の保存・修復、整備・活用の研究など、全国の文化財情報のデータベース化、総合的な調査研究に取り組む研究機関。同所による発掘調査等の調査成果は紙やフィルムからデジタルデータへの移行が進んでいる。同所のデータは、超長期的な安定したデータ保管と効果的な活用が求められている。
近年では、3次元計測データの巨大なファイルの保管も課題となっていた。デジタル化に伴い大容量ストレージが必要となっていた中で、オンプレのファイルサーバーでは容量や障害の対応を含め、安定的なデータ保管の点で限界があったという。また、災害発生時に防災センターは、奈良文化財研究所あるいは東京文化財研究所に中核拠点を設置するが、災害時の拠点機能の確保、全国レベルでの活動の機動性を確保する必要がある。また、パンデミックによる在宅勤務が始まり、自宅からデータへのアクセスや共有ができないといった課題も抱えていた。
同所・同センターはこれらの課題を解決するため、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティー評価制度)に登録され、文部科学省等でも実績のあるBoxを採用した。Boxの採用で、ファイルサーバーで課題だった容量管理やディスク障害への対応、災害対策、バックアップ等の運用管理が不要となった。また、文化財データはBoxによりマルウェアやウィルス対策も行なわれている。さらに、版管理や誤って削除したファイルの復元も容易であることなど、課題だった安定的なデータ保管もできるようになった。
また業務最適化の面では、関係者と機動的なデータ共有や資料を元にした効果的なコミュニケーションができるようになり、効果的なデータ活用にも寄与している。