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「Box Skills Kit」国内導入で見えたBoxのAI戦略

ビジネスの世界でBoxが最強のAI活用基盤になるかもしれない

2019年08月02日 13時00分更新

文● 指田昌夫 編集●羽野

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 Box Japanは2019年7月23日、国内最大の年次イベント「Box World Tour Tokyo 2019」を開催した。登録者数は年々拡大して今回は5500人を超え、会場となった都内のホテルはBoxのユーザー企業、およびBoxの開発・販売パートナーで埋め尽くされた。

ビジネスプロセスは会社の枠を超える

 基調講演の冒頭、来日したBox Inc.CEO共同創業者 兼 会長のアーロン・レヴィ氏は次のように切り出した。

 「2005年に創業して以来14年、情報へ簡単かつ安全にアクセスすることに邁進してきた。デバイス、場所を選ばず情報を操れるようになること。それが我々の目指す世界。世界で9万5000社以上のユーザーがいる。業種は問わない。ロンドンの警察、アメリカの司法省などでもすでにコラボレーションのためにBoxを使っている。今朝も米モルガンスタンレーとの協業を発表した」。

Box Inc.CEO共同創業者兼会長のアーロン・レヴィ氏

 クラウドストレージを企業に提供するサービスで創業したBoxだが、現在では社内外の情報共有とビジネスプロセス改善、他の業務アプリケーションのデータ基盤として利用範囲を拡大している。同社ではこれをCCM(Cloud Contents Management)と呼んでいる。

 「ビジネスにはスピードが求められている。スピードの敵は複雑さだ」と、レヴィCEO。「Opentextなど、これまでの企業向けのコンテンツ管理システムは、近代的なユーザーエクスペリエンスが提供されておらず、コラボレーションのための機能もない。あまりにも柔軟性に欠けていて、アップデートには多額のコストを要する。一方でコンシュマー向けのツールはどうか。Dropboxに代表されるサービスは業務プロセスに適合していない。あるいはワークフローの自動化もできない。高度なセキュリティやガバナンス機能も提供されていない。そのため、これらのツールのユーザーは業務に耐えるようにさらにほかのツールを付加していかなければいけない。それが複雑さを呼んでいる」と競合製品を名指ししながら、Boxでは1つの基盤で情報がセキュアに利用できると説明した。

Boxが進める「CCM(Cloud Contents Managemet)の+BoB(Best of Breed)」

 会場でユーザー企業や開発企業に聞いて回ると、Boxに対するユーザーの評価は、「容量無制限」「モバイルでも使える」「社外との共有が楽」「UIがシンプルでわかりやすい」「機能の改善が早い」などに集約される。その点ではレヴィCEOが基調講演で語った「ビジネスの境をなくしてシンプルにする」というビジョンは、日本のビジネス環境にも浸透しつつある(注:「セキュリティ」は選定の前提条件という企業が多かった)。

「ベストオブブリード」は死語ではなかった

 続いてBox Japan代表取締役社長の古市克典氏が、Boxと外部のクラウドサービスとの接続性の高さが紹介された。

 古市氏は、「Boxの目指す世界は、Boxだけでは実現しない。世界中で新しいサービス、アプリケーションが開発されている。大事なのは、それらのサービスをいかに早く自社に取り込み、競争力に変えていけるかである。新しいサービスを使いながらもその制約に縛られず、データの分散を防いで1か所に集める。そしてセキュアであることは何よりも前提である。Boxは、この条件をすべて満たす」と説明する。

 Boxは、すでに1400以上の社外の業務アプリケーションと接続している。MicrosoftやGoogle、Salesforce.comなど大手ITの製品をはじめ、電子署名やコミュニケーションツールまで幅広い。これらの定番アプリの中で、「あたかもそのサービスの機能であるかのようにBoxが使える」と、古市氏は説明する。「Box自体はデータ保存、活用としてのCCMの機能を充実させる。そして、BoB(Best of Breed)パートナーの豊富な業務アプリとつなぎこむことで、顧客の要望に合った業務システムを自由自在に組むことができる。これがBoxの戦略だ」

 IT業界ではかなり古い言葉のように感じる「ベストオブブリード」だが、Boxではクラウドパートナーに対してこの言葉を使っている。

Box Japan代表取締役社長の古市克典氏

 日本国内でもBoxの利用は拡大中だ。4800社のユーザー、日経225銘柄の45%がすでにBoxを利用している。基調講演では日本の代表的なパートナー企業で、且つBoxユーザーでもあるのキーパーソンが続々と登壇し、Boxとの協業の意義や独自のサービス事例などを披露した。

 また基調講演の最後には特別ゲストとして、衆議院議員でIT・科学技術担当大臣を務める平井卓也氏が登壇。成立したばかりの「デジタル手続き法案」によって行政の変革を推し進める政府の現状と、ITの調達に関して「クラウド・バイ・デフォルト」(原則としてパブリッククラウドで情報システムを構築する方針)を守り、国民生活の利便性向上と行政の効率化を進めていく考えを示した。そして、Boxの目指すビジネスをシンプルにするビジョンとは方向性が同じだと話した。

衆議院議員でIT・科学技術担当大臣を務める平井卓也氏

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