最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第15回
アップルの強さを別の側面から見せた新iPhone SEとM1 Ultra【本田雅一】
2022年03月10日 09時00分更新
「普通なら成立しない」を成立させられる強み
一方のM1 Ultraは少し違った側面でのアップルの強さを示している。
昨年末にMacBook Proシリーズに搭載されたM1 ProとM1 Maxは、このようにすればM1を高性能にできると分かっていても、普通ならばやらない、といった企画のSoCだった。なぜ通常ならやらないかと言えば、特定機種用だけに商品化しても経済合理性が得られにくいからだ。
巨大なダイは歩留まりが悪くコスト高になるからという理由もあるが、あそこまで大きな規模になると、そもそも最終的に搭載する製品の性格や位置付けを意識しなければ、最終的な仕様を固められないということもある。
例えばインテルやAMDが同じようなチップを作ろうとするとき、では何を重視してトランジスタの割り振りすれば良いのかリファレンスがない。かといってメーカーはこの部分で独自性を発揮させることは難しいだろう。チップの中に入った時点で、どんなメーカーも使えるようになるのだから。
M1 Maxのようなチップは可能ではあっても、目的意識がはっきりしなければ作れない。そして同じことはM1 Ultraにも言える。M1 Ultraは、M1 Maxの一辺に配置されたボンディングパッドのような部分を通じて2つのダイを貫通配線と微細なボンディング技術でつなげるUltra Fusionというパッケージ技術(半導体をチップに封入する技術)で実現した。
接続する技術は知られたもので、仕組みはとても簡単。そもそもインターフェイスではなく、インターコネクト(内部配線)の技術である。
だが、実際に接続するには様々な困難があったはずで、組み立て工程でM1 MaxとM1 Ultraを作り分けることが可能とは言え、なかなかこれを商品化しようとは汎用部品のメーカーなら考えにくいはずだ。こちらも、実際に搭載する製品が売れる絶対数が多くなくとも、最終的な目的に必要で組み立て工程で作り分けられるならば作ることができる。部品を売るのではなく、最終製品を売ることが目的だからだ。
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