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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第73回

Unityジャパンの大前広樹氏、スタジオコロリド創業者の宇田英男氏が語る

ゲームエンジンを最初に使いこなしたアニメ会社が圧倒的に勝つ

2022年03月12日 18時00分更新

文● まつもとあつし 編集●村山剛史/ASCII

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ゲームエンジンを最初に使いこなした
アニメ会社が圧倒的に勝つだろう

濱中 では最後に。この5年間でゲームエンジンは(アニメ制作ツールとしても)進化を遂げていますが、今後どのような進化の方向性を考えていらっしゃるのか、大前さんに伺いたいと思います。

大前 現状、私たちはプロの皆さんが作っている、いわゆる「止め絵の絵作り」、いわばワンショットごとの絵をきちんと出すことに注力しています。

 ただ、先ほど宇田さんも仰っていましたが、本当に効率化を進めるのであればUnityを導入することでリテイクのコストを抑えられますし、そもそも絵がすべて完成してから撮影に回すのではなく、「まだ仕掛かりだけど……」みたいな状態の制作物を一旦かき集めて画面構成を作り、改善しながら完成させる、というような作り方が可能になります。

 まあすごく良い話ではあるのですが、そうすると作り方がこれまでのウォーターフォール型ではなくなるので、アニメ業界の制作フローから外れてしまいます。ですからゲームエンジン利用に特化した作り方が徐々に編み出されていくのかなというふうには思っています。

 たとえば、ゲームエンジンに特化したCG会社であるVolcaさんは信じられないようなスピードで作っているんです。しかも「ワークフローのどの箇所をUnityで圧縮できたのか?」みたいな情報も公開されています。普通は分業するような箇所を1人が専任していたりするんですよ。

 おそらくワークフローをがっちりシフトした会社から新しい常識が生まれて、そこから新しい絵作りというか、ツールを使いこなした末の量産体制というものにシフトしていくのではと。たぶん、最初にやった会社は圧倒的に勝てると思うのです。

 僕は、願わくばそれが日本のスタジオであってほしいな、というナショナリズムを多少は持っているのですが、その戦いになったとき、まつもとさんが書かれた記事に結構つながるかなと思っています。いまは割とドキドキしながら宇田さんをはじめ現場の方々と目の前にある問題を解決しつつ、そういったパスをいかに作るか模索している、というのが現状ですね。

まつもと だいぶ未来の話を聞けました。皆様、ありがとうございました。

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