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海洋プラは流出の5%、残り95%は陸上で行方不明か? 九大が新研究

2022年03月04日 14時55分更新

文● MIT Technology Review Japan

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九州大学などの研究グループは、過去60年間で環境に流出したプラスチックごみの行方をコンピューター・シミュレーションで解析し、「海洋プラスチック」は全体の5%(2500万トン)程度とする推計結果を発表した。海洋プラスチックの行方を重量ベースで明らかにした研究は初めて。

九州大学などの研究グループは、過去60年間で環境に流出したプラスチックごみの行方をコンピューター・シミュレーションで解析し、「海洋プラスチック」は全体の5%(2500万トン)程度とする推計結果を発表した。海洋プラスチックの行方を重量ベースで明らかにした研究は初めて。 この研究では、世界でプラスチックの利用が盛んになった1960年代から現在までの約60年間に陸から海に流出したプラスチックごみ重量に、漁業に伴う投棄量を合わせてコンピューター・シミュレーションを実施。シミュレーションでは、海流や波による輸送や、風によるふき寄せ餌で移動するプラスチックごみに見立てた仮想粒子を全世界の海で追跡し、大きなプラスチックごみがマイクロプラスチックに破砕される過程や、マイクロプラスチックが海表面近くや海岸から消失する過程なども考慮している。 シミュレーションの結果、世界の海に流出したプラスチックごみのうち、目視できる大きさのプラスチックごみが約26%(660万トン)、マイクロプラスチックが約7%(180万トン)として、現在も漂流と漂着を繰り返していることが分かった。約67%(1680万トン)は、マイクロプラスチックに破砕されたのち、海岸や海面近くから消失したと推計されるという。消失したプラスチックを全て合計すると2500万トン程度となり、およそ60年間で環境に漏れたと推計されるプラスチックごみ全体の約5%となる。残りの約95%(5億トン程度)は、陸上で行方がわからなくなっている可能性があるという。 研究成果は、2月19日に「総合環境科学(Science of the Total Environment)」誌に掲載された。

(笹田)

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