このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

開発者を魅了するマイクロソフトの開発プラットフォームを探れ 第6回

Microsoft Developer Dayの最後はMicrosoft MVPたちのラウンドテーブル

Microsoft MVPたちが率直に語るマイクロソフトへの期待、強み、提言とは?

2022年02月22日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: 日本マイクロソフト

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

インプットとアウトプットのバランス コミュニティとハッカソンの活かし方

 続いて井上氏は、新しい技術との向き合い方をテーマに挙げた。エンジニアとして必要なインプットやアウトプットについて、楽しむことの重要さ、そしてコミュニティがテーマとなった。

「うちのチームメンバーは優秀で、Microsoft MVPを持っているメンバーもいる。だから、別になにか言わなくても、技術を勝手に習得してくれる。それでも気を遣っているのは、会社ではなく、個人として発信してもらうこと。そのメリットとしては、会社で仕事にしてしまうと、けっこう決められた技術を使わざるをえないけど、エンジニアとしては出たばかりの技術を追いかけるべき」

「たとえば、OSSのプロジェクトをメンテナーとしてやっている人は、キャッチアップの技術が身についている。ブログを書くのも、イベントに登壇するのもいいけど、個人的にはGitHub上でOSSプロジェクトに参加していくと、最新の開発スタイルやグローバルな視点でのコミュニケーション、どのライブラリがイケてるのか、感覚が得られると思う。これを会社としても、個人としてもオススメしている」(三宅氏)

ゼンアーキテクツの三宅和之氏(左)

「まずはMicrosoft Learnのような学習サイトを活用する。インプットも多様化し、テレビっぽいのや、座学っぽいスタイルや、オフラインっぽい勉強会など、自分の学習スタイルにあった教材を選べる。とっつきやすいところから知識を得られるようになったのが1つ。アウトプットについてお伝えしたいのは、パブリックなブログじゃなくても、製品に対するプライベートなフィードバックもアウトプットとして重要ということ。積極的にフィードバックしてくれるとうれしいなと」(亀渕氏)

「個人の活動としては、若いスタートアップに向けたメンターをやっているのですが、そこで話しているのは、とにかく手を動かした方がいいということ。インプットとアウトプットの比率があるなら、インプット3:アウトプット7くらいの割合がちょうどいい。じゃあ、アウトプットってなにかというと手を動かすこと。とはいえ、プログラミングやITって単調で飽きてしまったり、正解がないことも多いので、こういうときにコミュニティを活用すべきだと思っている。仲間として、コミュニティに入って情報交換するのがいい」(小島氏)

「うちの会社でやっているのはハッカソン。先ほど三宅さんも言っていましたけど、ハッカソンってすごく大事。なぜ重要なのかって、インプットとアウトプットと熱量、全部が感じられる場所なんです。これすごいと思いません? ですから、小規模でも、合宿でもいいから、とにかくテーマを決めてハッカソンをやるのオススメです」(小島氏)

日本のマイクロソフトが注力すべきポイントとは?

 最後はマイクロソフトへの期待と意見。特に日本市場におけるマイクロソフトの注力ポイントやグローバルと比べたプレゼンスに関しては、三者三様の鋭い指摘が向けられた。

「まずOSSに関しては昨今厳しく見られがち。なので、マイクロソフトには透明性やアカウンタビリティをもっとクリアにしてほしい。プロダクトやサービスはもちろんですが、たとえばVisual StudioのIntelliCodeでのデータ収集も、こういうポリシーでこうやってAIを使っていますというところを明確にアピールして欲しい。もう1つはAzureやVisual Studioのマーケットプレイスをがんばってほしいという点。ツールを作っているパートナーだけでなく、エコシステムを使う人にもメリットを得られるようにしてほしい」(亀渕氏)

pnopの亀渕景司氏(左)

「マイクロソフトのこの十年くらいの動きは、個人的にはとても気に入っている。GitHubをベースにOSSを活用する環境を良い感じに提供してくれるので、ここはすごく満足している。あえて言うと、日本マイクロソフトやMVPのわれわれがもっと努力しなければいけないのは、日本ではマイクロソフトの技術にバイアスがかかって、おそらくグローバルに比べて長らく低評価になっている部分。この数年で改善するかと思ったら、意外と改善していない気がする。GitHubやVisual Studio Codeのようなツールも浸透してきたし、そういったツールを作っているオープンな会社としてのアピールと雰囲気作りがすごく重要だし、コミュニティを通じてそこを改善していけたらと思います」(三宅氏)

「話そうとしたことは2人に話されちゃったんですが(笑)、1つはやはりマーケットプレイス。日本国内で充分使えるマーケットプレイスを提供してほしい。これはわれわれのようなパートナーがきちんとビジネスできるという意味。もう1つ三宅さんがおっしゃったとおり、日本国内ではバイアスがかかっているところも正直多い。特にエンタープライズの会社ほど強くて、ここはうまくブランド転換をしていかなければならない。もう1つ付け加えるとすれば、レガシーのモダナイゼーション。日本国内において.NET FrameworkベースのWindows Server 2008以前のサーバーってまだ30万台ある。この技術的な解決をきちんと示し、EOSを理解して、広く使えるソフトウェアに転換するため、ツールやクラウドでできることの認知を拡げるべきだと思う」(小島氏)

 マイクロソフトの会社や技術を知り尽くし、コミュニティを通じてエンジニアの動向にも明るい3人のラウンドテーブルだけに提言や指摘はとても納得感も高かった。こうしたエンジニアに支えられるからこそのマイクロソフトの強みであり、逆に重責を負わなければならない立場でもある。64ビット化したVisual Studioと20年目の.NETという到達点を超え、マイクロソフトは開発者をどこに誘ってくれるのか? 楽しみだ。

 なお、Microsoft Developer Dayで紹介したセッションはアーカイブ動画として用意されている。今回レポートしたラウンドテーブル以外にも、有益なセッションがいろいろ用意されていたので、ぜひ興味ある人は視聴してもらいたい。


(提供:日本マイクロソフト)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード