海外メディア「Patently Apple」によると、アップルがオーディオの通信遅延(レイテンシー)を減らすために、ワイヤレス光通信の特許を取得したということだ。
これは取得特許なので、すでにUS Patentデータベースに11,234,078番として登録されている。
興味深いのは、実現例としてアップルが近い将来に発売すると噂されているMR(AR/VR)ヘッドセットが例示されていることだ。MRヘッドセットとAirPodsと思わしきイヤホン間、そしてiPhoneとそのイヤホン間の構成図が図示されている。前者はMRヘッドセットからイヤホンに対しての通信、後者はiPhoneからイヤホンへの通信だ。さらに後者ではユーザーが回転していることからも分かるように、空間オーディオでの使用が意識されている。Patently Appleではアップルの音響担当のGary GeavesがBluetoothのレイテンシーに言及しているコメントを載せていて、レイテンシーが十分小さくないと空間オーディオで違和感がおきるというコメントを引用している。
昨年紹介したオーディオテクニカの「EP1000IR」も赤外線システムを使って0.001秒以下の低遅延化を図っていた。これは、Bluetoothのようなパケット通信では処理の時間が必要だが、赤外線の場合はデジタルデータをRAWで(生のまま)流すため、単純化できるという理由のようだ。エラー発生時の再送などはできないが、音楽データの場合、プログラムデータとは異なり、多少ビット落ちしても致命的ではない。
ワイヤレスで光通信をするためには送信側/受信側にそのためのハードウェアを追加する必要がある。しかし、こうした通信手段を設ければ、伝送量の問題も解決できる。ワイヤレスの通信手段はBluetoothだけではないことはもっと注目されてもいいだろう。
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