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鉄板&今が旬なパーツを性能検証!! 第43回

【鉄板&旬パーツ】ようこそ水冷沼へ! LGA1700用水枕の実力をチェック

2022年01月22日 12時00分更新

文● 藤田 忠 写真●藤田 忠 編集●北村/ASCII

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外付け本格水冷システムを使って性能を検証

 両CPUウォーターブロックの冷却性能を試すために使った本格水冷システムは、Alphacoolの60mm厚360mmラジエーターの「NexXxoS UT60 Full Copper 360mm radiator」とLaing DDC互換ポンプを内蔵したBykski「CP-DDCXTK180V2」、ID3/8 OD1/2サイズのソフトチューブなどで構成。

 ポンプの回転数は、高回転だとリザーバータンクの大きさもあって気泡が大量に発生してしまうため、40%、3000rpm前後に制御している。

愛用している検証用の外付け本格水冷システム。クイックリリースを使って、ウォーターブロックの交換と追加を容易にしている

ファンは、Noctua製120mmファン「NF-F12 PWM」を3基搭載した

本格水冷のパーツ構成
CPUウォーターブロック Corsair「Hydro X Series XC7 RGB PRO CPU Water Block」
EK WaterBlocks「EK-Quantum Velocity2 D-RGB - 1700 Nickel + Plexi」
ラジエーター Alphacool「NexXxoS UT60 Full Copper 360mm radiator」
(120mmファン×3基)
ファン Noctua「NF-F12 PWM」(120mm、300~1500rpm)
ポンプ/リザーバー Bykski「CP-DDCXTK180V2」(ポンプ Laing DDC互換 PMD3 Pump)
ラジエータースタンド Bykski「Bykski External 360mm Radiator Mount Stand」
チューブ径 ID3/8 OD1/2

 Core i9-12900Kは、マザーボードのBIOS(UEFI)で性能を最大限に引き出す「Water Cooler(PL1:4096W)」を選択したほか、手動でPコアを1コア5.3GHz、8コア5.0GHz、Eコアを1コア4.0GHz、8コア3.8GHzで動作するように、オーバークロックした状態でも試している。

強力な冷却システムを使うことで、性能を最大限引き出すことが可能になるCore i9-12900K

UEFIでPコア、Eコアの倍率を変更。コア電圧はデフォルトの自動設定のままにしている

CPUがフルロードされた際のPコア クロックは下割れしているが、倍率49倍の4897MHzで動作している

オーバークロック時は、4997MHzに張り付いており、CPU Package Power(HWiNFO64 Pro読み)は、最大で280W台に達していた

テスト環境
CPU インテル「Core i9-12900K」
(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)
マザーボード MSI「MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」
(インテルZ690、ATX)
メモリー G.Skill「DDR4-3600 16GB×2 F4-3600C16D-32GTZNC」
(16GB×2、DDR4-3600)
ビデオカード Palit「GeForce RTX 3080 Ti GamingPro 12GB」
(GeForce RTX 3080 Ti、12GB GDDR6X)
ストレージ Samsung「980 PRO MZ-V8P2T0B/IT」
(2TB、PCIe4.0 NVMe)
電源ユニット SUPER FLOWER「LEADEX VI PLATINUM PRO 1000W」
(1000W、80PLUS PLATINUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」

オールコア5GHzのOCも問題ない冷却性能を発揮

 「XC7 RGB PRO CPU ウォーターブロック」と「EK-Quantum Velocity2」を外付け水冷システムに取り付けて、CPUがフルロードされる「CINEBENCH R23」を30分間(Minimum Test Duration:30 minutes)連続して実行した際の温度を「HWiNFO64 Pro」で記録。「CPU Package [℃]」をCPU温度として、テスト後半10分間の推移を抽出している。さらに最高と平均温度もまとめている。

室温20度、ファン回転数1400rpm台(単位:℃)

室温20度、ファン回転数1400rpm台(単位:℃)

 電力消費が無制限となる「Water Cooler(PL1:4096W)」設定時から見てみると、Deepcoolのツインタワー空冷CPUクーラー「AK620」や、ARCTICのオールインワン水冷ユニット「Liquid Freezer II」など、最近試したCore i9-12900Kの冷却システムのなかでは、トップの冷却性能を発揮している。

 「XC7 RGB PRO CPU ウォーターブロック」と「EK-Quantum Velocity2」では、「EK-Quantum Velocity2」が勝り、最高温度で3度、平均温度で2.43度低い結果を残している。

 1万2500円前後の価格を考えると、「XC7 RGB PRO CPU ウォーターブロック」のコスパは悪くないが、本格水冷の導入コストを考えると、コスパよりも冷却性能を重視したいところ。先日試したLiquid Freezer IIと比べても、最高温度で3度、平均温度で2.2度差と「XC7 RGB PRO CPU ウォーターブロック」は、いまひとつに感じてしまう。

室温20度、ファン回転数1500rpm台(単位:℃)

室温20度、ファン回転数1500rpm台(単位:℃)

 続けて実行したオーバークロック時の温度推移も同じ傾向で、最高温度は90度台に達するが、「EK-Quantum Velocity2」の平均温度は87.45度と安心できる温度を維持している。流路を流れるクーラントの量が多い大型ウォーターブロックの「EK-Quantum Velocity2」の強みだろう。

買って安心のEKWB「EK-Quantum Velocity2」

 複数枚の諭吉が勢い良く飛んでいく本格水冷システムだけに、冷却性能は高いほどうれしいところだ。その点EKWBの最新CPUウォーターブロック「EK-Quantum Velocity2」は、CPUの最大性能を引き出すと現状最も高発熱となるCore i9-12900Kとも安心して組み合わせられると言える。

 コストを含めて、導入敷居が高い本格水冷だが、興味を持った人は是非とも挑戦してもらいたい。今回組んだ水冷システムのように、経路にソフトチューブを利用すれば、ハードチューブのように長さをしっかりと合わせ切ったり、正確に曲げたりといった加工は不要。そのうえフィッティング(継手)のコストも抑えられるので、メンテナンス性も良好なソフトチューブからはじめるのも手だ。

 今回のCPUウォーターブロックに続いては、本格水冷導入の契機になることも多いフルカバータイプのGPUウォーターブロックを試そう着々と準備中なので、CPUよりもビデオカードの爆熱が気になっている人は注目だ。

今回使った本格水冷システムのテスト中の水温は最高でも28度程度と、CPUとGPUのデュアル水冷環境にも十分対応できる温度になっている

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