セキュアで小型、優れた拡張性
小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」の受注がスタート
ACSLは12月7日、小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」を発表し、受注を開始した。
“空(天)という無限大の可能性を持つ空間を自在に飛行する姿”のイメージから命名。インフラ設備の点検、農業、防災、災害時の状況把握や測量といった用途での活用を見込んでいる。
大きな特徴は、その高いセキュリティー性だ。コンピューターセキュリティーのための国際規格であるISO15408に基づくセキュリティー対策を実施し、情報の漏洩や抜き取りへの耐性を高めているほか、機体と送信機をペアリングする機構を設けることで、機体の乗っ取りもしにくくした。
また、機体の主要部は国産品、または信頼性の高い海外からの調達品のみを採用。通信データ/撮影データの暗号化や、クラウドからの取得データを保護する機構を設けている。
ドローンとしてのスペックは最大対気速度15m/sと風に強い仕様。サイズはアーム展開時で幅637×奥行き560mm(含プロペラ)、重量は1.7kg。標準バッテリーで最大25分、大容量バッテリーで最大29分の飛行時間を実現している(標準カメラ搭載時は標準バッテリーで最大22分、大容量バッテリーで最大25分)。最大電装距離は4kmで、IP43の防水防塵設計。
またSLAS/SBAS(準天頂衛生システムみちびきのサブデータ級即位補強サービス)を搭載し、災害時なども、正確な位置情報を把握しながら、安全な離着陸が可能だという。
LTE通信に対応し、インターネットを通じた操縦にも対応。山間部やプラント内部などの遠隔地で、補助なしでの自動飛行が可能だ(LEVEL3)。インターネットが使えない環境下においても、コントロール側の基地局アプリにオフライン地図を表示し、ドローンを自動飛行させることができる。
さらに、専用のアタッチメントを採用してカメラを搭載。標準カメラに加えて、赤外線カメラ+可視カメラ、マルチスペクトルカメラ、光学ズームカメラ(開発中)とワンタッチで切り替えができるほか、本体上部に任意のカメラをマウントし、点検対象の設備を下から撮影するという使い方にも対応する。
SOTEN(蒼天)の販売開始は2022年を予定しており、販売目標は1000台規模としている。同社の代表取締役社長兼最高執行責任者の鷲谷 聡之氏は、「社会インフラをどう維持し、付加価値を上げるのかが重要になっていく中で、ドローンの利活用が進んでいるが、従来のドローンにはセキュア性、小型化、飛行性能/拡張性という3つの要素が足りていなかった」と話す。
発表会の終盤には、鷲谷 聡之氏がモデレーターを務め、グリッドスカイウェイ有限責任事業組合 CEOの紙本 斉士氏、内閣官房 小型無線機等対策推進室 参事官の小熊 弘明氏をゲストに招いた、トークセッションも披露された。
紙本 斉士氏は、現在のドローンを取り巻く状況について、「すでに点検用途などでの導入が進んでいるが、人が目視できる範囲でなら飛ばせるという段階。見えない範囲まで飛ばすと、その先にどんなものがあるかわからない。利活用を進める必要はあるが、安全安心が一番なので、その両輪で進めていく必要がある」と話した。
また小熊 弘明氏は「官民が連携した協議会を立ち上げ、環境整備、技術開発、社会実装の3つを推し進めている。レベル4(有人の地帯で、目視外での飛行を行なう)を実現させることがまず大事。そのためには、地方自治体とも連携をし、特区を設けた上での実証実験も有効だ」と、レベル4飛行の実現について触れた。