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国産ドローンメーカーのACSL、万国郵便連合の諮問委員会に加盟! ドローンをつかった国際郵便へ加速

2023年01月17日 13時00分更新

文● ASCII

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画像左:ACSL代表取締役社長 鷲谷 聡之氏/画像右:UPU事務局長 目時 政彦氏 

 国産ドローンメーカーのACSLは1月16日、国連専門機関である万国郵便連合(Universal Postal Union、以下:UPU)の諮問委員会に、ドローン関連企業として世界で初めて加盟したことを発表した。

 UPUは192ヵ国の加盟国を持ち、郵便業務の効果的運営によって諸国民の通信連絡を増進し、文化、社会、経済分野での国際協力に寄与することを目的とする国連専門機関。

 同社は、産業分野における既存業務の省人化・無人化を実現するために、国産の産業用ドローンの開発を行なっており、2018年に航空法が改正された際には、日本郵便(以下:JP)とともにレベル3飛行(無人地帯における目視外飛行)を実現している。

 また2022年12月にはレベル4(有人地帯における目視外飛行)での運用を前提とした新たな物流専用ドローンを発表するなど、ドローンを活用した郵便・物流の課題解決に積極的に取り組んでいる。

 今回のUPUへの加盟は、こうした同社の取り組みが評価され、実現したという。

JPと連携した新たな物流専用ドローン

新たな物流専用ドローン

 同社はこれまでにも国産ドローン「SOTEN(蒼天)」や物流・点検用の新機体「PF2-AE」、上下水道管などの閉鎖環境の点検に特化した「Fi4」、5kgペイロードの物流専用機「AirTruck」など数多くのドローン製品を発表している。

 そんな中、ACSLは郵便・物流領域での連携を強化することを目的にJP、日本郵政キャピタルと業務提携し、2022年12月6日には新たな物流専用ドローンを発表した。

画像は昨年12月に行なわれた新機体発表会の時の様子

 本機はペイロード(最大積載量)が1.7kgから5kgになっていることや、最大飛行距離が10kmからおよそ35kmに伸びているなど、従来機体(ACSL-PF2)と比較し、大きく性能面で進化。

 また空力シミュレーションや風洞実験を通した空力最適化による高い飛行性能を有していることに加え、機体上部からの配送物の収納や機体下部からの切離しなど、使用者・利用者双方の利便性向上を前提とした搭載機構を装備している。

 そのほかデザインについても、物流という利用シーンから、日常的なドローン活用を目指した機体となっており、レベル4での運用を前提とした高い信頼性を持つ設計となっている。

持続可能なグローバル・メーカーとして情報発信も加速

 なお、同社は2022年1月28日に発表した中期経営方針「ACSL Accelerate FY22」の中で、持続可能なグローバル・メーカーになることを目指すとコメントしており、国産ドローンの海外への情報発信も積極的に行なっている。

 具体的には2022年5月27日~28日、インド ニューデリーにて開催された「Drone Festival of India 2022」に、また2022年9月6日~8日にはラスベガスの「COMMERCIAL UAV EXPO」に出展。

COMMERCIAL UAV EXPO

 ラスベガスでのCOMMERCIAL UAV EXPOにおいて同社は、小型空撮ドローン SOTEN(蒼天)を展示。データの漏洩や抜き取りの防止、機体の乗っ取りへの耐性を実現したセキュリティーの高さや、小型空撮ドローンでは初とうたうカメラのワンタッチ切り替え方式を採用することで、様々な用途で活用できることが評価された。

Drone Festival of India 2022

 ニューデリーのDrone Festival of India 2022では、SOTEN(蒼天)の操縦体験会を実施し、体験者からは「初めてドローンを操縦したけれど簡単に操作できました。」「安定して飛んでいる。」など評価も上々だったという。

 さらに同社は同年11月11日、インド企業よりおよそ1.4億円(8000万ルピー)の大型案件を受注しており、生産を委託するACSL India Private Limited(2021年9月に現地合弁会社として設立)とともに積極的に事業を推進している。

 インド市場への本格参入についてはこちらの記事でも取り上げているので、参照してほしい。

社会から信頼される企業へ

スイス・ベルンにあるUPUの本部外観

 今回のUPUへの加盟により、世界各国におけるドローンを活用した郵便・物流サービスに関するシステムやガイドラインなどの標準化、日本がこれまで実施してきたドローンを活用した郵便・物流サービスに関する実証を連携しながら各国へと展開していくこと、そして、世界各国での郵便・物流サービスの動向に関する情報収集や日本での活動に関する情報発信が可能となる。

 UPU事務局長の目時 政彦氏は「国際郵便の可能性を広げる手段として、ドローンには非常に期待をしています。そして、日本においてドローンデリバリーを日本郵便社と連携しながら実装に向け取り組むACSLには、実証実験による知見が多く蓄積されており、これから国際郵便における各種課題の早期発見や対策の検討などに一緒に取り組んでいける存在としてとらえております。事務局長として、今回のACSLの加入を大いに歓迎いたします」とコメントしており、期待値の高さが伺える。

 ACSLが持つ国産ドローンメーカーとしての圧倒的な技術・運航ノウハウと、JPの郵便局・物流ネットワークとをかけ合わせることで、物流シーンは新たなステージへと進んでいきそうだ。

 ドローンによる配送という社会的な信用が必要な観点からも、今回のUPUへの加盟は追い風になったように思える。物流専用の国産ドローンの本格的な運用に期待していきたい。

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