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ASCII Power Review 第153回

1型センサー搭載の「カメラ」なのである

ソニー「Xperia PRO-I 」実機レビュー = まさにRX100をギュっと内蔵したスマホだった!

2021年11月22日 13時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 スマホとしては大型の1型撮像素子を搭載した「Xperia PRO-I(プロ・アイ)」が登場した。1型撮像素子といえばすでに「AQUOS R6」や「Leitz Phone 1」があるが、1型撮像素子の名機「RX100 /10 /0」シリーズを擁するソニーということもあり、カメラマニアの期待は相当高まっているのだ。

 自分はカメラマンなので、「Xperia PRO-I」の気になるカメラとしての性能をレビューしていく。(なお今回試用したのは発売前モデルなので、画質や操作感など発売される製品とは異なる可能性がある。)

12月15日発売予定。直販価格は19万8000円(SIMフリーモデル)。

ソニーの名機「RX」の血統がついにXperiaに注がれたのである

 撮像素子は「RX100 VII」と同等という。つまり高速処理が可能な「積層型」で、なおかつAFが素早い「像面位相差AF」も搭載し、ライバル機よりワンランク上の性能だ。

 ただ既に報じられているとおり1型撮影素子すべての画素を使用しているわけではなく、一部をクロップする仕様となっている(ちなみに超小型1型コンデジ「RX0」もクロップする仕様だ)。

 この点を気にする人がいるかもしれないが、撮像素子が大型であるメリットは、1画素あたりのサイズが大きくなり、より多くの光を取り込むことでき、階調再現や高感度画質が優れるという点。つまりクロップしていても1型撮像素子の恩恵は十分に受けられるのである。

 カメラは1型撮像素子で24mm相当の広角にくわえ、撮像素子サイズは一般的なスマホカメラ同等だが16mm相当の超広角(1/2.5型)と50mm相当の標準(1/2.9型)も搭載。幅広い画角をカバーしてくれるのは有難い。

中央の大きなレンズが1型撮像素子カメラ(24mm相当)で、上部が超広角(16mm相当)、一番下部に標準(50mm相当)を備える。

 また1型撮像素子の24mm相当レンズには絞り機能を搭載し、F2とF4を切り替えることができる。スマホのように限られたスペースしか確保できないレンズ内に絞り機構を組み込むあたりは、「XperiaPro-I」のカメラに対する本気度が感じられる。

レンズを覗いてみると、絞りが可動していることがわかる。写真左がF2、写真右がF4。

 半押しにも対応した物理的なシャッターボタンを搭載し、AF/AEロック(AF-Sに設定した場合)の動作は一般的なカメラと遜色の無い操作感である。また端末がスリープ状態でもシャッターボタンを長押しすると自動的にカメラアプリが起動し、すぐに撮影することができるは快適だ。

物理的なシャッターボタンは格子状の突起がある形状で滑りにくく、適度なストロークがあり押し心地は普通のカメラと遜色は無い。

 さらに音量ボタンでデジタルズームの操作ができるほか、ストラップホールを備えるなど、カメラとして使用する際の工夫も随所に見られる。

音量ボタンではデジタルズームの操作ができる。欲を言えばシャッターボタン左右に独立して備えてくれるのが理想的。

最近のスマホでは珍しいストラップホールも備える。サイズが小さめなのでストラップ紐を付けるのに少し難儀した。

 カメラアプリ「Photography Pro」の撮影モードには、一般的なスマホカメラのような操作感の「BASICモード」や、シーンを自動判別する「オートモード」もあるが、やはり撮影を楽しむなら詳細な設定がおこなえる「プログラム」と「マニュアル」での撮影がオススメだ。

ほぼカメラ任せで撮影できる「BASICモード」。明るさや色合い、連写と絞り値などは変更することが可能。

「RX」ユーザーなら見慣れたモード。露出補正にISO感度、ホワイトバランスが強制的にオートになる。

おそらくカメラマニアが一番使うであろうプログラムオート。画面右サイドが各種設定のパネル。絞り値とレンズ切替のアイコンは画面左に配置。

さすがはソニーの1型撮像素子
明らかにコントラストも発色も高級カメラレベルだ

 気になる1型撮像素子カメラの画質だが、クッキリとしたシャープ感で、メリハリのあるコントラストや鮮やかな発色も相まってクリアに感じる描写だ。周辺光量低下や像の歪みもキッチリと補正されている。さらに明暗差の階調も幅広く再現されているのも1型撮像素子ならではである。

 (以下の作例は、特記がない限り、ホワイトバランスオート、ISO100、DレンジオプティマイザーAUTOでの撮影。クリックで実物大に拡大となります。)

輪郭がクッキリ描かれたシャープ感で階調も滑らかに再現されている。広角カメラ・絞りF2・シャッタースピード1/2000秒

太陽光が水面に反射して橋梁を照らしている。強めのシャープネスも鉄骨の質感再現との相性は良い。広角カメラ・絞りF2・シャッタースピード1/100秒

順光のフラットな青空でも周辺の光量低下は無く、しっかり補正されている。広角カメラ・絞りF2・シャッタースピード1/3200秒

規則的に積み上げられたレンガの壁を撮影しても、まったく歪みは感じられない。広角カメラ・絞りF2・シャッタースピード1/3200秒

どこまで近寄ることができるか試した。おそらく最短撮影距離は12cmと思われる。広角カメラ・絞りF2・シャッタースピード1/3200秒

逆光でも明暗部とも再現されていて階調の幅は広い。広角カメラ・絞りF4・シャッタースピード1/500秒

 ただ拡大して細部を見ると、少しシャープネスが強めな感もあり、好みは分かれるところ。シャープネスやコントラスト、彩度と調整する機能(「RX」や「α」でいうところの「クリエイティブスタイル」)が搭載されていないのは惜しいが、RAWの同時記録も可能(「BASICモード」や連写撮影、HDR設定時は不可)なので、現像時に自分好みに仕上げるという手もある。ちなみに、RAWのファイル形式はDNGを採用していて、ソニー独自のARWではないのは解せないところだ。

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