連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第2回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月2日~10月8日分
パブリッククラウド国内市場は1.5兆円規模、顧客窓口のボット利用増加、ほか
2021年10月11日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。今回(2021年10月2日~10月8日)は、国内のパブリッククラウド、ITサービス、顧客サービスチャネルなどのデータを見てみます。
■[ITサービス]国内ITサービスは成長路線に、課題は人材確保と体制作り(IDC Japan、10月5日)
・2020年の国内ITサービス市場は、前年比2.8%減の5兆6834億円
・2020年~2025年は年間平均成長率(CAGR)2.4%で成長(予想)
・ITサービス事業者はDX人材の育成と獲得が急務、自社のDXも必要
国内ITサービス市場の調査。2020年はコロナの影響により商談停滞やプロジェクト先送りなどが発生したため、2019年と比較して2.8%の減少となった。2020年後半から回復傾向が見られ、2021年にはプロジェクトベース市場を中心に持ち直してプラスに転じる見込み。コロナ対応を主なきっかけとして国内企業でもDXが本格化しており、ITサービス事業者はDX関連サービスを強化するために「DX人材の育成と確保を急ぎ、自社のDXを推進すべき」と提言している。
■[クラウド]2021年の国内パブリッククラウド市場は前年比20%増(IDC Japan、10月4日)
・2021年の国内パブリッククラウドサービス市場は、前年比20.3%増の1.5兆円規模に
・2025年の市場規模は、2020年の2.3倍となる2兆9134億円と予測
・クラウドネイティブが浸透、今後ベンダーエコシステムの再編が起こる
国内パブリッククラウドサービス市場は2021年、前年比20.3%増の1兆5087億円になると予想。2020年から2025年までは18.4%のCAGRで推移し、2025年には2兆9134億に。これは2020年の2.3倍となる。成長の主な要因は、DXに伴うインフラの見直し。なお、ベンダーのDX施策には、技術課題の解決に加えて、人材育成、組織と文化の変革も含まれており、これが投資を活性化するとも。クラウドネイティブが急速に普及しており、ベンダーのエコシステムの再編が始まりつつあるという興味深い指摘もしている。
■[セキュリティ]クラウドインフラはサプライチェーン攻撃に脆弱(パロアルトネットワークス、10月8日)
・クラウドインフラ構築で使用した外部コードテンプレートの63%に安全でない構成が含まれている
・クラウドインフラに導入されている外部コンテナアプリケーションの96%に既知の脆弱性が存在
パロアルトネットワークスの脅威インテリジェンスチームが作成した「Unit 42 Cloud Threat Report, 2H 2021」より。サプライチェーン攻撃が増加しているが、クラウドインフラの外部コードテンプレートの63%に安全でない構成が含まれているなど、クラウドインフラが抱える課題がわかった。依存関係が複雑なクラウドネイティブアプリでは、クラウドワークロードの部品表(BOM)を作成し、依存性とリスク評価を行うようアドバイスしている。
■[仕事・働き方]20代~30代の女性、コロナ禍でキャリアや恋愛にも変化求める傾向(エージェントゲート、10月7日)
・20代〜30代の女性ノンデスクワーカーの半数以上が、収入、転職など仕事に変化があった
・7割がコロナ禍を機に「お金の使い方」などを変えたいと思っている
・48.6%が異業種転職を視野に入れている
20~39歳の販売・接客業(ノンデスクワーカー)女性400人に、コロナ禍での変化を聞いた。若いほど変化が大きく、20~24歳の41%が「収入が減った」、20%が「転職した」と回答。変化に対して前向きな意識も浮き彫りになり、変えたいものとして「お金の使い方」(44.5%)、「生活習慣」(31.8%)などが挙がった。「恋人・パートナー」を挙げる人も6%。異業種や未経験の仕事に転職したいという意向も高く(「してみたい」「ややしてみたい」で48.6%)、その理由として「賃金」が最も多く挙がった。コロナは、仕事、生活など色々なことを考えるきっかけになったようだ。
■[生活]コロナ禍で顧客サービスのオムニチャネルが加速、ボットの利用も増加(ジェネシスクラウドサービス、10月8日)
・顧客サービスのチャネルとして非対面が増加
・最多はオペレータとの電話。Webチャットは22%から31%と、アジア太平洋地域で最も大きな成長率
・「ボット通話」「チャットボット」などボットの利用も増加傾向
コロナが顧客接点に与えた影響を探る目的で、世界1万1000人以上の消費者に調査を実施、日本の回答を抜き出した。コロナ前の顧客サービスチャネルは「対面」が64%と多かったが、コロナ以後は19%に激減。一方で非対面の「電話」は60%と変わらず、「電子メール」は37%から44%に微増した。顧客サービスにおけるオムニチャネルのサポートは「顧客のニーズに応えるための新しいデファクト標準になりつつある」とジェネシスでは指摘し、そこにおいて重要なのは「シームレス、パーソナライズ、共感」だとアドバイスしている。
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