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論文でわかっていても社会実装されないAIのハード面実装を進めたい。TRUST SMITHの挑戦

車高と群制御技術に強みがあるAI最適化AGV・Kagheloを開発

連載
このスタートアップに聞きたい

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「最先端の技術」がオーバースペックになるケースも

 TRUST SMITHが意識しているのは、単に最先端の技術を用いることで課題が解決されるわけではなく、クライアント企業が抱える課題に対して最適なソリューションを提供すべきという点である。課題によっては、従来手法で解決できるにも関わらずAIなどのオーバースペックな技術を要求することもあるが、最先端の技術が必要がない場合には率直に伝え、最適な形でクライアントへソリューション提供をする。

 例えばある食品工場では、製品を作る機械の不調による大量の不良品を生産してしまっていた。クライアント企業は当初これをAIを用いたソリューションで解決することを期待していたが、この案件にAIを用いるのはオーバースペックでありコストもかさむと判断。通常の画像認識技術を用いて解決し、クライアントに提供している。

 「基本的には弊社にしかできないソリューションを提供しています。競合と比べて価格を下げて契約を勝ちとるといったビジネスはしていないですが、一方でコストメリットに見合わない場合は代替案を示すなどクライアントへの価値提供ができる道を模索しています。最も必要なのは『最先端の技術』ではなく、『さまざまな制約条件の中で課題を解決できる最適な解決策』であると考えています」(堂本氏)

 また、同社では知的財産の確保にも積極的だ。例えば人工知能を使った障害物回避型ロボットアームのアルゴリズム開発に成功し、特許を取得している。スペースに余裕のない工場では、ロボットと人、あるいはロボット同士の距離が近かったり、動線を最適配置すると重なってしまうことがある。そのような場合に接触や衝突といった事故の発生を防ぐため、特殊なロボットアームをメーカーと共同開発している。

 人と機械の共同作業がより安全に行えるということは、幅広い分野で人の活動を機械がサポートしてくれることを意味する。人手不足や人件費の削減、人的要因によるミスや事故の防止など、実装へのニーズは高い。

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