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Windows Info 第295回

Androidアプリの提供だけではないWindows 11のMicrosoftストアの進化点 MSIやEXEインストーラーにも対応

2021年10月03日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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x86/x64向けのAndroidアプリ実行環境がWindows 11に載る

 さらにWindows 11のMicrosoftストアは、Amazonのアプリストアが出店し、インテルが開発した実行環境を使って、Androidアプリを実行可能にするという。主催者は変わったが、これはProject Astriaそのものだ。当初のProject Astriaは、オープンソース版のAndroidから実行環境を作り、Androidアプリを動作させるものだった。

 ただし、Google Mapsの代わりにBing Mapsを、Chromeブラウザの代わりにEdgeを使うものだった。つまり、内部で一部サービスをMicrosoftのものに差し替えるものになっていた。おそらくはこれが原因でGoogleと“モメた”のだと推測している。Project Astriaも早々にキャンセルになった。しかし、Bing Mapsは思ったほど普及していないし、EdgeはChromiumベースになったのだ。

 たぶんWindows 11のAndroidアプリの実行環境では、Googleのサービスはそのまま使うことになる。こうして外堀を埋めていくかたちで、Project Astriaは復活したわけだ。ここにインテルが絡むのは、おそらくAndroidのエミュレーターなどで、Googleとの関係を保っているからではないかと思われる。インテルは、かつてスマートフォン向けにAtomプロセッサを開発し、Androidスマートフォンが何機種か製品化された。しかし、スマートフォンとしては消費電力などの問題もあって伸び悩み、スマートフォン向けプロセッサからは撤退した。

 だが、x86/x64プロセッサのプラットフォーム(WindowsやLinux)でのAndroidエミュレーターでは、いまだにIntelバイナリのAndroidが使われている。ARMのコードをx86/x64の上でエミュレーションするよりも高速に動作するからだ。

 しかも、最近のAndroidエミュレーターには、Google Playストアがあり、Androidアプリをインストールすることが可能なのだ。Androidのアプリは、原則仮想マシンコードで記述されており、一部ARMの機械語コードを含む。しかし、Androidエミュレーターではこれらはちゃんと動作する。早い話、すでにWindows上にはAndroidのアプリを動かす環境があるのだ。

Windows上で動作するAndroidエミュレーター。かつてはプレーンなAndroidだったが、現在のエミュレーターイメージにはPlayストアがあり、アプリのインストールなども可能なAndroidアプリ実行環境になっている

 というわけでWindows 11では、Windows 10登場時に発表されたWindows Bridge計画の4つのプロジェクトのうち3つを実現させている。残るはiOSアプリだが、今やスマホアプリの大半はAndroid/iOS両対応なので、アップル固有のサービスを除けば、ほとんどがAndroid用で間に合う。無理にiOSのアプリを動かす必要もなくなったわけだ。

 Windows 11は、Windows史上で最も差分の小さいアップグレードになる。Windows 10とWindows 11のプログラムコードとしての差は、従来のWindows NT、2000、XP、Vista、7、8の間と比べてかなり小さい。これはWindows 10が年2回のアップデートで段階的に進化し、Windows 11はデスクトップのUIなどを除くと、多くをWindows 10と共有しているからだ。そして、Windows 10とともに発表されたWindows Bridgeが実現するなど、コンセプト的にもWindows 11はWindows 10の延長上にある。

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