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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第146回

金融庁、みずほ銀のシステム運用を事実上管理

2021年09月27日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 システム障害が続発するみずほ銀行に対して、金融庁が、その厳しい監視下でシステムの運用をさせる強い処分に踏み切った。

 2021年9月22日、金融庁は、みずほ銀行とみずほフィナンシャルグループに対して、銀行法に基づく業務改善命令を出した。

 事実上、金融庁がシステムの運営を管理する中で、みずほ銀行は障害が多発するシステムを見直し、更改する作業を進めることになる。

 こうした金融庁の対応に対して、新聞各社の記事には、「強行介入」「戦艦大和」「異例」といった強い言葉が並ぶ。

 民間銀行のシステム運用に監督官庁が細かく口を出す対応は確かに極めて異例だが、過去の経緯を振り返れば、ある程度やむを得ない措置とも映る。

 みずほ銀行のシステム障害は、今年に入って7回。メガバンク「みずほ」が誕生した19年前から続いているからだ。

新勘定系システムMINORI

 みずほ銀行の勘定系システムは「MINORI」という名前が付けられている。2019年7月に本格運用が始まった新しいシステムだ。

 厳しい「勘定系」という言葉が聞き慣れないが、預金や融資、振込などの業務を担うシステムのことだ。顧客との接点になる、銀行にとってもっとも大切なシステムとも理解できる。

 一連のシステム障害が最初に起きたのは、2月28日午前。ATMにカードや通帳を入れたまま、戻ってこない障害があちこちの店舗で起きた。その後、多くのATMが動かなくなった。

 6月にみずほ銀行のシステム障害特別調査委員会が公表した報告書によれば、通帳やカードの取り込みは5244件、稼働が停止したATMは4318台とされる。

 事態をさらに複雑にしたのは、2月28日が日曜日だったことだ。通帳やカードが取り込まれた客が、銀行に連絡しても多くの行員は休みを取っている。当然ながら顧客対応には遅れが生じる。結果、顧客はカードを取り込まれたまま、長時間待ちぼうけになった。

4度の障害で「異なる原因」

 その後、3月3日、7日、12日とシステム障害が続いた。

 2月から3月に起きたシステム障害について、委員会はそれぞれ異なる原因を指摘している。

 たとえば、2月28日については、「MINORIの構造、仕組み自体に欠陥があったのではなく、これを運用する人為的側面に障害発生の要因があった」と断じている。

 インターネットバンクの普及で、みずほ銀行も、リアルの通帳を発行しない「e-口座」というサービスがある。

 月末の日曜日に、一定の要件を満たす口座を「e-口座」に切り替える処理を一括で実施。一括で大量な処理を実行する際に、メモリの超過が起きた。

 委員会は、3月3日の障害はメモリ故障、同7日はプログラムの初歩的設計ミス、同12日については通信制御装置の故障が原因だったと結論づけている。

 報告書は、勘定系システムそのものの根本原因には踏み込まなかった。

 「MINORIを中心とするITシステムのメカニズム面における共通する原因を認めない」としたうえで、組織の危機対応能力や顧客目線の弱さなど、みずほ銀行の人的な体制の不備に問題があったと指摘している。

 2週間ほどの間に4度の障害が発生し、時期は重なっているものの、障害の原因も、障害が起きた取引の種類も異なるのは、6月の時点では、委員会の報告どおりだったのだろう。

報告書公表後2ヵ月後に障害再発

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