Windows 11のリリースが2021年10月5日と発表された。今回は、Windows 11へのアップデートやWindows Insider Programなど、これからのWindowsのリリース関係を解説する。
Windows 11アップグレード対象CPUについて追加の話
先週の記事冒頭で(「Windows 11へのアップグレード可なCPUが微妙に追加&Windows 10の寿命について」)、Windows 11のアップグレード対象のCPUが若干追加された内容を書いた。
その記事で紹介したCPUは、明確に追加された「第7世代」のCPUのみである。第7世代かどうかの判断は、CoreシリーズではCPUナンバーの先頭が7かどうか、Xeon Wはリストに追加されているものをそのまま記載した。
実際には、そもそもリスト自体に「抜け」や「間違い」が入っており、現在の英語版のリストは、これらも訂正されたものになっている。URLのパス部分の先頭が「en-us」になっている点に注意。「ja-jp」は、原稿執筆時点で6月のもののままだった。
●Windows processor requirements Windows 11 supported Intel processors
https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/design/minimum/supported/windows-11-supported-intel-processors
たとえば、6月に発表されたリストには、「Intel Core i5+8400」(i5-8400が正しい)や「Intel Xeon Gold6246」(Goldと6246の間にスペースがない)といった細かな間違いがある。さらに第8世代以降なのにリストに含まれていなかったもの(Intel Core i7-8705GやCore i7-11800Hなど)などがあった。これらは、Microsoftが資料作成時に誤ったものと思われ、英語版のリストに正しく記載されていることから「追加」分としては記載しなかった。
おそらく、この資料を作成した担当者は、インテルCPUの正確なリストを持っていなかったのであろう。インテルのCPU情報ページの方も、個々の製品のページはちゃんと存在しているのに、プロセッサーの一覧ページからカテゴリーをたどっていっても、あるはずの製品ページにたどり着けないものがいくつかあった。たとえば先週の時点では、8月27日に改訂されたMicrosoftのWindows 11対応プロセッサに追加された、Xeon W 12xxシリーズもそうだった。
おそらく6月の時点で、Microsoftは当時のインテルのCPU製品ページと同じような不正確なリストを元に対応CPUのページを作り、PC正常性アプリを開発したのであろう。
インテルのCPU製品のページは現在では、分類から個々のCPUにはたどり着けるようになったが、製品スペックページのほうは、前のままである。できれば、もう少しスペックのところをきちんとしてほしいところだ。たとえば、仮想マシンの機能である「Mode-Based Execute control for EPT」(Microsoftが「MBE:Mode Based Execution」と呼ぶもの。仮想マシンの構成情報であるVMSC内のビットで制御する)の項目が表記されていないプロセッサがある。
筆者の記憶が正しければ、このMBEは2017年のXeon Scalable プロセッサ(Skylake-SP)から搭載された。Microsoftのブログなどによれば、Kaby Lake以降には搭載されているとのことだが、肝心のインテルのCPUスペックにMBEの項目がないため、入っているのかいないのか、記述されてないだけなのかがはっきりしない。もう少しちゃんとしたデータを公開してほしい。
Windows 11は10月5日から提供されるが、
Windows Update経由でのアップデートは段階的
Microsoftのブログによれば(https://blogs.windows.com/windowsexperience/2021/08/31/windows-11-available-on-october-5/)、Windows 11は10月5日から「利用可能」となり、この日以降、無料アップグレード、プレインストール製品の購入が可能になるという。
もっとも、Windows 11へのアップグレードは、おそらくWindows Insider Programの参加者からで、それ以外のユーザーへのアップグレード通知は、これまでのWindows 10の機能アップグレードのように、段階的に実施されることになる。
またその過程でエラーなどがあれば、Safeguard Holdsにより、自動的にエラーを起こしそうなマシンへの配布が止まる。このあたりについては、以前の記事でちょっと解説した(「Windows 10で秋の大型アップデートが始まったのに、春のアップデートも落ちてこないマシンがあるのはなぜ?」)。ただし、このSafeguard Holdsは、Windows Update経由でのアップデートでのみ働く。たとえば、ISOイメージからのインストールなどでは、問題が起こるPCにもインストールできる。
Windows 11のアップグレードに関しては、条件を満たさないPCへもISOイメージ経由で可能という話もあるようだ。Windowsのバージョンが変わるアップグレード時に問題になるのは、まずライセンスだ。Windows 10から、ライセンスはハードウェアが持つIDがMicrosoftのライセンスサーバーでひも付けされている。固有のIDを持たない古いPCに関しては、ハードウェア情報などから生成されたIDが使われ、これがライセンスサーバーでライセンス(ProductID)と組み合わされる。Windows 11のシステム要件を満たさないPCにISOなどでアップグレードしたときにライセンスが得られるのか? というのが1つのポイント。
ライセンスが得られたとして、問題が発生したときにパッチなどの提供があるのか? というのも気になる点だ。もちろん、軽微な問題なら、無視して使い続けることもできるだろうが、たとえば、Windows 11が起動しなくなる、起動するが操作がまったくできないような状態になる可能性がある。
このとき、Windows 11のシステム要件を満たすPCでも同じ問題が起きれば、パッチなどが配布されるだろうが、システム要件を満たさない一部のPCでのみ発生するとしたら、対応されない可能性が高い。もしそういう問題が生じた場合は、「泣き寝入り」になりそうだ(レアなケースだとは思うが)。
そういう状況とは関係ないかもしれないが、Windows 11プレビュービルド22000.176にアップデートしたら、マシンの調子が悪くなった。起動するとスタートメニューやタスクバーアイコンが表示されずに操作ができない。新しいWindowsの利用には、こうしたリスクがあり、プレビュー版ならなおさらである。なお、回復方法は以下のページにあり、この方法で復帰できることは確認した。タスクマネージャーのメニューからC:\Windows\System32\cmd.exeを起動し、レジストリを削除して再起動する。
●Announcing Windows 11 Insider Preview Build 22000.176
https://blogs.windows.com/windows-insider/2021/09/02/announcing-windows-11-insider-preview-build-22000-176/
Windows Insider Programのチャンネルも元に復帰
今週、Windows 11プレビュービルド2200.176の配布が始まったが、Dev Channelは、以前と同じく、特定のWindows 11リリースとは無関係の「開発ブランチ(RS_PRERELEASE)」に戻り、プレビュービルド22449の配布が開始されている。なので、もしWindows 11のプレビュー版を使いたいというのであれば、Beta Channelに切り替える必要がある。筆者も、ついうっかりDev Channelのままにしておいて、再起動が通知されて気がついた。
ここで「設定」→「Windows Update」→「Windows Insider Program」で「Beta Channel」を選び、Windows Updateの「更新の一時停止」にしてから、Windowsを再起動をすれば、RS_PRERELEASEのインストールを回避できる。再起動後、更新の一時停止を解除すれば、Windows 11のプレビュービルド22000.176(CO_RELEASE)へのアップデートが可能だ(ただし前述のように問題が出たので注意したほうがいい)。
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