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工期短縮を実現する「未来パネル」やスマートホームをモデルルームに実装

YKK APが「真鶴の家」で提案するポストコロナの新しい住環境とは?

2021年09月02日 16時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年9月2日、YKK AP、ワールドハウジングクラブ、一般社団法人LIVING TECH協会は、暮らしと建設業界の課題を解決するための新しい住空間の提案として「真鶴の家」を公開した。コロナ渦のテレワークに対応した住環境を提案するとともに、工期短縮を実現する「未来パネル」やスマートホームをモデルルームに実装した。

神奈川県足柄下郡真鶴町に建てられた真鶴の家

コロナ渦の課題である職住一体とスマートハウスを組み込む

 真鶴の家のプロジェクトの企画・実行を進めた住宅建材メーカーのYKK APは、高い付加価値と建材の可能性を追求する「未来窓」「未来ドア」「HACOBASE」など、業界の話題となるプロジェクトをいくつも手がけてきた。第5弾目のプロジェクトとなる真鶴の家は、コロナ禍で見えてきた生活者の課題、深刻な職人不足に陥っている建設業界の課題を解消すべく、パートナーとの共創で新しい住環境を提案することにしたという。

 ここで言う生活者の課題とは、コロナ禍によるテレワークの一般化で、仕事と生活の区別つきにくくなっていること、通勤のような移動時間や週末の旅行やお出かけといった非日常が失なわれたことなど。こうした課題を解消すべく、真鶴の家では「職住一体」をキーワードに、在宅ワーク専用の部屋やスペースと、ホテルのような生活が可能な非日常空間を、長めの廊下でつなぐという間取りを採用した。また、コロナ禍で高まる衛生や換気の需要に応え、玄関に手洗い場を設置したり、空気清浄機を天井に埋め込んだり、自動洗浄トイレや自動掃除機を採用している。

ホテルライクな住まい空間

在宅ワーク部屋

仕事をする現実とホテルライクな非日常

 さらにテクノロジーと住環境の融合を進めるLIVING TECH協会との連携により、スマートスピーカー、スマート家電、スマート照明、スマートプラグ、お掃除ロボなど、約90台のデバイスを用いたスマートホーム化を実現している。単体での動作はもちろん、朝起きたとき、「おはよう」の声でカーテンが開き、照明が付き、Alexaが今日の天気を読み上げるといった連携動作も可能になる。既存の住宅で配慮されていないコンセントの配置や、自動掃除機やWiFiルーターなどの置き場も考慮されており、美観と利便性を損なわないように工夫されている。

スマートハウス仕様の考慮ポイント

職人不足という建設業界の課題に貢献する「未来パネル」採用

 一方、建設業界の課題解消のために、これまで工事の効率化を進める新パネル「未来パネル」をワールドハウジングクラブとともに開発し、真鶴の家に採用している。ワールドハウジングクラブは企画住宅のシェアリングサービスである「HOME i LAND」を展開しており、住宅キットでこの未来パネルを採用している。

 最近の住宅は省施工や工期短縮を実現するために、壁や床などの構造物をあらかじめ規格化されたパネルとして工場生産し、施工現場で組み立てるパネル工法が用いられる。未来パネルでは、パネル自体が耐力壁、断熱材の役割を果たすとともに、YKK APの高性能なトリプルガラス樹脂窓があらかじめ組み込まれている。

 この未来パネルでは、重量化した窓を外部から取り付ける必要がなく、室内からのパネル施工が可能になる。また、出っ張りのない専用窓のため、パネルを平積みすることができ、配送回数や搬入の簡素化も実現する。従来の工法に比べて、1週間程度、工期を短縮でき、実際に真鶴の家も1日で外壁下地が完了したとのこと。また、工業生産品のため、現地のゴミも最小限におさえ、運搬する車の乗り入れ回数も減るため、環境負荷も低いのもアピールポイントとなっている。

真鶴の家の外壁下地は1日で完了

 今回、構築した真鶴の家の実棟モデルは、購入希望者向けのモデルハウスとして活用されるだけでなく、工務店やビルダーなどが抱える課題解決に向けた提案の場として活用されるという。

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