ソフトバンクは、2022年3月期第1四半期 決算説明会を開催。その質疑応答で、同社代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏は、楽天モバイルへのプラチナバンド再配分の問題について問われ、「プラチナバンドが欲しい気持ちもよくわかる」としつつも、「無いから欲しいだけでは議論にならないのではないか」とコメントした。
ソフトバンクは、プラチナバンド割当までに
2GHz帯で18万局の基地局を設置した
プラチナバンドについては、都市部のビル影や屋内、地下空間など、エリアの隅々まで電波が届くカバレッジを構築するのには必要だと、(4Gでは1.7GHz帯のみの)楽天モバイルから要望が上がっており、3大キャリアの3Gサービスが終了するタイミングでの再配分が議題となろうとしている段階だ。
一方でソフトバンクも、携帯電話事業に参入した2006年から、プラチナバンド(900MHz帯)でのサービスを開始する2012年まで、電波の届きやすさで見劣りする2GHz帯でのエリア拡大に苦戦していた。宮川氏はソフトバンクモバイル(当時)のCTOとして、まさにその状況に直面してきた人物である。
宮川氏は「あまり総務省さんと喧嘩したくない」と苦笑しつつ、総務省に「(プラチナバンドの割当は2GHz帯を)使うだけ使ってから」と言われたとして、2GHz帯で15万局、最終的には18万局と基地局を立ち上げたという。これらの基地局は結果としてはキャパシティーという面で、同社のネットワークの基盤となっているというが、プラチナバンドの割当までにはそこまでの努力をしたことをアピール。
また、基地局は設置すれば終了なのではなく、ソフトウェアを年に2回、3回のペースでアップデートするなど、サービス品質向上に常にコストがかかるため、周波数の割当があまりに短い期間では、こうした取り組みが減って、結果的に消費者が受けられるサービス品質の劣化も危惧しているとする。
一方で周波数全体において、5年ごとに再免許という形で更新が続いていき、既得権益のように固定化している状況については、後発の事業者へのチャンスも必要であるという点で理解しており、それをどういう形で実現していくか議論が必要だと認めている。
こうした、同社の基本的な立場を説明したのち、「正直な気持ち」として冒頭のコメントが出された形だ。