北九州がIoTプロトタイプ製作まで支援「IoT Maker's Project」公募受付中
IoT関連のビジネスアイデアを、全国エリア問わず募集
北九州市が主催するビジネス創出プロジェクト「IoT Maker's Project」は2021年7月30日、令和3年度の事業説明会をZoomウェビナーで開催した。IoT Maker's Projectは、共創企業とのIoTプロダクトのプロトタイプ製作支援に特化した北九州主催のビジネス創出プログラム。説明会では、本事業の概要と共創企業の4社から募集テーマの説明が配信された。IoT Maker's Projectの公募締め切りは8月29日。全国エリアを問わず、個人または企業など誰でも応募が可能だ。
新たに実証実験や事業化の支援、NEDO TCP2021への参加も
冒頭では、北九州市産業経済局雇用・生産性改革推進部スタートアップ推進課の鎌田氏より、本事業の概要と北九州市のスタートアップ支援の取り組みが紹介された。
北九州市が主催するIoT Maker's Projectは、IoTに関連したビジネスアイデアを数ヵ月でプロトタイプ完成まで導く国内初のプロジェクトとして2017年にスタートし、今年で5回目を迎える。北九州市に拠点を置く大手企業から提示されたテーマをもとにビジネスアイデアを募集し、採択チームには、共創企業からの最大100万円の開発資金の提供と、モノづくりのプロ集団がプロトタイプ製作を支援。さらにプログラム終了後には、共創企業と連携し、実証実験や事業化のチャンスが得られる。また、今年度よりNEDO TCP2021事業と連携し、NEDO賞を受賞したチームはNEDOプログラムにもチャレンジできる。
北九州市は令和2年7月、内閣府の「スタートアップ・エコシステム推進拠点都市」に選定され、その中核的な取り組みとして、グローバルアクセラレーションプログラム「GAP-K」を設立。GAP-Kは、有望なスタートアップに対し、民間私企業が主体となり投融資や協業で伴走支援するアクセラレーションプログラムで、令和3年度のプログラムは現在公募中だ(8月15日まで)。さらに、今年度からはスタートアップSDGsイノベーショントライアル事業(事業化支援事業)と実証支援事業の2つの事業を新設。事業化支援事業の公募期間は8月23日まで、実証支援事業は8月上旬に公募を開始する予定だ。
応募はアイデアだけでOK、モノづくり専門家が強力にサポート
続いて、運営事務局の浅野氏よりIoT Maker's Projectの支援内容と公募要件を紹介。
IoT Maker Projectは、IoTデバイスに特化した事業アイデアを数ヵ月でプロトタイプ完成まで具現化するプロジェクト。過去4年間で累計332社がエントリーし、21チームが採択。2017年度の採択企業である株式会社トレッタキャッツが開発したスマートねこトイレ 「トレッタ」、2018年度に採択した九州大学のチームが開発した水難救助ネットワークシステム「ヨビモリ」が事業化に成功している。
スケジュールは、8月29日までビジネスプランを募集し、9月下旬に最大4チームを採択。10月からプログラムを開始し、各チームはメンターやモノづくり専門家の支援のもと、約半年間で事業の仮設検証とプロトタイプ製作に取り組み、2022年3月のデモデイで事業アイデアとプロトタイプを発表する。
プロトタイプ開発については、共創企業から最大100万円の開発資金が提供されるとともに、モノづくりの専門家チームが強力にサポートしてくれるので、事業アイデアさえあれば、モノづくりの技術や経験がなくても大丈夫。1次審査はアイデアだけなので、1人で複数のアイデアを応募してもいいそうだ。
ハードウェア・ソフトウェアの設計/開発については、北九州工業高等専門学校の専門家チームおよび北九州高専発ベンチャーの合同会社Next Technology 代表 渡邊 祥気氏、UI/UXデザインについては西日本工業大学デザイン研究所の所長 中島 浩二氏が支援にあたる。また、ビジネスメンターとして、株式会社ABBALab 代表取締役の小笠原 治氏、株式会社Shiftall代表取締役CEOの岩佐 琢磨氏、株式会社マクアケ共同創業者/取締役の木内 文昭氏の3名がサポートする。
SDGs、カーボンニュートラル、防災など共創企業からの指定テーマ
プロジェクトの募集テーマは、共創企業からそれぞれ自由テーマと指定テーマが提示される。今回の共創企業は、第一交通産業株式会社、株式会社ドーワテクノス、トヨタ自動車九州株式会社、株式会社ラックの4社。ウェビナー後半では、共創企業4社が今回のチャレンジテーマを紹介した。
第一交通産業の指定テーマは、1)インターネットを活用した、駐車場利用者に付加価値を提供できるアイデア、2)インターネットで駐輪場と自転車利用者をつなぎ、利用促進を図るアイデアの2つ。
ドーワテクノスは、自由テーマとして、今後SDGsにつながるアイデアを広く募集する。
トヨタ自動車九州の指定テーマは、カーボンニュートラルの推進に関わるもの。例えば、カーボン排出量の見える化、カーボン量の管理、カーボン量排出を減らす仕組み、といったIoTアイデアを募集。
LACの指定テーマは「人を助けるIoT」。街やその周辺で防災・減災に役立つモノ、安全を実現するモノ、福祉で人の生活の支援となるものなどを想定している。
応募は、所在地や開発経験を問わず、1人でもチームでも複数のアイデアを応募できる。形にしてみたいアイデアがある人は応募してみては。