一方のWindows 10はどうなる?
今動いているマシンなら2025年10月までは使えそう!?
一方のWindows 10は、2025年10月14日まではサポートが続けられる。
●Windows 10 Home and Pro Life Cycle
https://docs.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/windows-10-home-and-pro
とすると、最後の機能アップデートは、その18ヵ月前となる2024年の4月頃と予想できる。今年の下半期に予定されている21H2を入れて、あと6回は機能アップデートがなされる計算になる。なお、次の機能アップデートとなるWindows 10 Ver.21H2では、LTSC(Long Term Service Channel)エディションが予定されているため、LTSC2021として5年間残る。
現在、Windows 10が動作しているPCにおいては、大きく2つの道がある。1つは、Windows 11への無償アップグレードを選択して、Windows 11になる道。もう1つは、Windows 11へのアップグレードができない、またはあえてアップグレードを選択せずに、Windows 10のまま寿命を迎える道だ。
では、現在Windows 10が動作しているPCは、すべてこのまま2024年の機能アップデートまではサポートされるのだろうか? おそらくはそうなると考えられる。今のところ、CPUの世代でWindows 10のアップデートが停止されているようには見えない。もちろん、ストレージの不足などでアップグレードできない場合もあれば、前述のSafeguard Holdsにより、機能アップデートが延期されることはある。しかし、Safeguard Holdsの原因が取り除かれれば、Windows Updateは可能だ。実際、筆者のところにある初代Surface Pro(Windows 8と同時に発表されたマシン)は、21H1へのアップグレードが実施された。
このままWindows 10でマシン寿命を全うするとなると、前述のようにあと6回の機能アップデートが提供されるはずだ。現在の21H1で問題がないし、新しいものでなくていいというなら、アップグレードが可能でも、アップグレードしないという選択肢もあるようだ。Microsoftによると、Windows 11の無償アップグレードは、オプトイン方式であり、ユーザーが指示した場合のみに実行されるという。
32bit版のWindows 10に関しては、すでに昨年のVer.2004(20H1)からOEMへの提供が終了しているが、少なくとも今も21H1の32bit版は入手が可能だ。32bit版が廃止されたわけではない。Microsoftが配布しているMedia Creation Toolを使うとちゃんと32bit版のISOイメージを入手できる。
Windows 10のProcessor Requirementsリスト
Windows 10には、各バージョンでサポートされているCPUのリストがある(Windows 11のアップグレード対象となるCPUリストと同じページ)。
●Windows Processor Requirements
https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/design/minimum/windows-processor-requirements
このリストは、Windows 10がサポートするCPUのリストであるとされている。このリストに記載されていないCPUがあることを根拠に、Windows 10でもサポートが終了したCPUが存在するという主張もある。
しかし、このリストをよく見てみると、不完全なものであることがわかる。Windows 10登場以後に出荷され、Windows 10プレインストールマシンに搭載されているCPU、たとえば、「Atom x5-Z8350」などが記載されていない。インテルのサイトによれば、このプロセッサの出荷開始は2016年第1四半期、つまり、Windows 10が出荷された後だ(https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/93361/intel-atom-x5-z8350-processor-2m-cache-up-to-1-92-ghz.html)。
このプロセッサは、筆者の手元にある「HP x2 210 G2 背面カメラ付き」という機種に搭載されており、この機種は、2016年にWindows 10をプレインストールして発売された(2019年に製造中止済み、https://jp.ext.hp.com/notebooks/business/hp_x2_210_g2_camera/?jumpid=st_cm_p_sh_gg_bra_dsabnb)。
さすがに、PCメーカーがサポート非対象のCPUにWindows 10をプレインストールして販売しているという状況は理解できない。とすると、このリストは“不完全”なのではないかという推測が成り立つ。
Windows 10プリインストールマシンに搭載されていた前述のAtom x5-Z8350は、Windows 10の最初のリリースであるTH1のCPUリストから最新の21H1のリストまで、どこにも掲載されていない。つまり、このリストに掲載されていないということは、必ずしもWindows 10のサポート対象ではないことを意味しない。となると、このリストを根拠に、CPUによってWindows 10のサポートが停止するとは断定できないことになる。
今後は、Windows 11が主流になることから、Windows 10では、大きなアップデートはないと考えられる。それに加え、Windows 8からアップグレードした機種にもWindows 10の配布が、まだ続いていることなどから、現在Windows 10が動作していれば、2025年まではCPUに関係なく、Windows 10をそのまま利用できる可能性があると考えていいだろう。もちろん、Microsoftの今後の発表次第ではあるが。
同様に考えると、Windows 11のサポートCPUリストもすべてのCPUを列挙していない可能性がある。実際、筆者の手元にあるPCのうち1台は、CPU(Core m3-8100Y)を含めすべての条件を満たしているのに、最初に公開された「PC正常性チェック」プログラムではアップグレードが不可と表示された(しかもMicrosoft製のSurface Goなのにだ)。アプリが間違っている可能性もあるが、リストが正しくない可能性もありそうだ。
そういうわけで、前記URLにあるWindowsのサポートCPUのリストには、ちょっと信頼性に欠けると言える。このため、これを根拠にさまざまな推測をするのは誤りとなる可能性もある。
すでにWindows 11やWindows 10 Ver.21H2のプレビューも始まり、Windowsは大きな変化点に向かい、いろいろと騒がしくなってきた。Windows 11のプレビューは、このところ毎週アップデートされており、開発が活発なことをうかがわせる。
この連載の記事
-
第461回
PC
Copilot+ PCを買ってみたが、「今焦って買う必要はない」のかもしれない -
第460回
PC
Windowsでsftpを使う -
第459回
PC
WSL 2.4.4ではtar形式でのディストリビューションが配布でき、企業での利用が容易になってきた -
第458回
PC
Windows上でhostsファイルを活用する -
第457回
PC
IPv6アドレスは先頭を見ればどんな種類かわかる -
第456回
PC
あらためてIPv6基本のキ -
第455回
PC
Windowsで現在どのネットワークアダプタがインターネット接続に使われているかを調べる方法 -
第454回
PC
Windows 11 24H2では「デバイスの暗号化」の条件が変わり、より多くのPCでドライブが暗号化される -
第453回
PC
Windows 11 24H2の配布開始後もすぐにはやってこない Windows UpdateとSafeguard Holds -
第452回
PC
Windows 11 Ver.24H2が登場 Copilot+ PCとそうでないPCで実質Windowsが2つに分かれる -
第451回
PC
新しいWindowsサンドボックスではコマンドラインからの制御が可能に - この連載の一覧へ