アドビは7月20日、Adobe Creative Cloudのビデオ製品に関するアップデートをリリースした。日本語音声を自動でテキスト化できる「音声のテキスト化(Speech to Text)」機能などが一般向けに公開されるなど、作業の効率化を図ったアップデートに注目したい。
Premiereは「音声のテキスト化」を正式提供
動画編集ツールの「Adobe Premiere Pro」では、昨年のAdobe MAXで発表され、その後早期アクセスプログラムでのみ提供されていた「音声のテキスト化」がついに一般提供を迎えた。同機能は、動画内での話者が語る内容を、自動でテキストに起こしてくれる機能。Adobe Senseiの技術を活用し、テキストに起こした内容を、音声のタイミングに合わせたキャプションとして自動配置できるほか、外部のSRTファイルとして保存することにも対応する。なお、話者が複数いる場合には、話者ごとにテキストが識別される。
同機能において、多くの日本ユーザーの要望を反映したポイントとしては、キャプションに対して装飾機能が追加されていることが挙げられる。具体的には、「エッセンシャルグラフィックス」パネル上のタイトルやキャプション作成機能が強化されており、新たに、テキストレイヤーに対して複数の「シャドウ」の適用や、テキスト背景の角丸化などに対応する。
また、廃止予定の「レガシータイトル」に対する救済策が用意されたことも覚えておきたい。レガシータイトルから作成中のテキスト箇所が編集できなくなってしまう事態を防ぐため、レガシータイトルで作成した部分をエッセンシャルグラフィックスパネル上からも更新や修正を行えるようになった(具体的には、プロジェクト内のレガシータイトルを選択した状態で、「グラフィック」のメニュー内にある「レガシータイトルのアップグレード」または「すべてのレガシータイトルをアップグレード」を選べばよい)。
M1チップを搭載するMacシリーズにネイティブ対応したことにも注目だ。具体的な改善として、アプリ起動から書き出しまで、平均して77%の高速化を実現。起動で50%高速化、プロジェクトを開く際で77%高速化、プロジェクトの保存で16%高速化した。なお、既存機能の処理速度については、ひと続きの動画に対してシーンの切り替えを認識し、自動でインデントやカット点を挿入する「シーン編集の検出」機能において、Windows・MacOSで2倍の高速化、M1では3倍近い高速化が実現されているという。
そのほか、Windowsにおいては、外部マイクやヘッドフォンなどオーディオデバイスの差し替えを自動認識する機能も追加された。
ちなみに、6月に発表された内容だが、今後Premiere ProのUIが段階的に刷新されていくことも告知されていることも関連するトピックだ。パブリックベータとして「フェーズ1」を導入。具体的には、読み込みモード、ヘッダーバー、書き出しモードの3点が変わるという。例えば、読み込み時において、従来は解像度やフレームレートなどの“箱”を先に設定する流れがあったが、新UIではより直感的なものに刷新される。