空撮用途として人気のドローン。飛ばせる場所に制限があるので、どこでも自由に使えるものではありませんが、普通のカメラでは撮影できない風景ができることもあって愛好者も多いようです。とはいえ、ドローンは個人の趣味だけではなく、無人でモノを運ぶ物流や農場での農薬散布、鉄塔の保守管理用などの業務にも使われています。
現在のドローンの弱点はWi-Fiが到達するエリアでしか飛ばせないこと。しかし、4Gや5G回線を使って飛ばすことができれば電波は日本中、いや世界中でも届きます。ということで産業用のドローンの中には4Gを搭載したものも出てきていますし、5Gの応用例として5Gドローンを様々なメーカーが計画中です。5Gは低遅延ですから、5Gでつながったドローンの操作もリアルタイムに無遅延でできるのです。
個人用には4Gドローンはまだ出ていないようですが、老舗のドローンメーカーであるParrotから「ANAFI Ai」が今年下半期に発売される予定です。ANAFI Aiは4800万画素のカメラを搭載し4K動画の撮影も可能、4Gは700~900MHzを使うようで、LTEのBand 8/18/19/20あたりが利用できるのでしょう。ということは、日本での販売もあるのかもしれません。
ANAFI Aiは個人向けではなく産業向けに発売されるとのこと。とはいえコンシューマー向けにもドローンを展開しているParrotですから、今後個人向けドローンにも4Gを搭載する可能性は十分にあります。「ドローンといえばDJI」というほどDJIの強い現在の個人向けドローン市場ですが、4Gドローンの商用展開を個人向けにも広げればParrot人気も増えるかもしれません。
4Gドローンは4Gの電波が届けば飛ばせますから、東京の自宅から北海道の別荘にあるドローンを飛ばす、ということも理論上は可能です。現在のドローンはWi-Fi電波の届くエリアにある本体しかコントロールできませんが、4Gドローンはコントローラーの電源を入れれば、4G回線につながっているドローンを操作できるわけです。4G回線が途切れず、バッテリーの持ちが続く限りどこまでも飛ばし続けることができれば、ドローンの使い方も大きく変わるでしょう。
KDDIは4Gドローンを「スマートドローン」としてすでに商用化しており、測量や風力発電機の監視に使っています。大企業向けのサービスとなりますが、すでに4Gドローンは日本でも飛んでいるのです。
なお、2021年7月8日にドコモが日本初のドローン向け4Gプラン「LTE上空利用プラン」を月額4万9800円(税込)で開始しました。これはもしかするとANAFI Aiが日本国内で発売されることを視野に入れているのかもしれません。災害発生時の現地確認用途などドローンは緊急用にも利用できるだけに、今後は4Gドローンの普及も進みそうです。
将来はすべてのドローンが5G接続となり、ガソリンスタンドのような形でドローンの「無線充電スタンド」があちこちに立ち、ドローンの電池が切れそうになると自動的に最寄りの充電スタンドに着地してワイヤレス充電をしつつ、次の飛行指令を待つ、なんて姿が当たり前になるのでしょう。街中の外灯を5Gの基地局や電気自動車の充電スタンドにし、その上部にはドローンの充電スタンドを搭載するというソリューションもすでに開発されています。10年もすると、上を見上げるとドローンがあちこちで飛んでいる、そんな光景も珍しいものではなくなるのかもしれません。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第780回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った -
第720回
スマホ
USBケーブルや電源プラグに4G内蔵も! 進化するモバイルルーターたち - この連載の一覧へ