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山根博士の海外モバイル通信 第556回

ドローンもついに4Gを搭載! 東京から北海道や九州のドローンを飛ばせる?

2021年07月19日 18時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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4Gドローンがついに登場

 空撮用途として人気のドローン。飛ばせる場所に制限があるので、どこでも自由に使えるものではありませんが、普通のカメラでは撮影できない風景ができることもあって愛好者も多いようです。とはいえ、ドローンは個人の趣味だけではなく、無人でモノを運ぶ物流や農場での農薬散布、鉄塔の保守管理用などの業務にも使われています。

 現在のドローンの弱点はWi-Fiが到達するエリアでしか飛ばせないこと。しかし、4Gや5G回線を使って飛ばすことができれば電波は日本中、いや世界中でも届きます。ということで産業用のドローンの中には4Gを搭載したものも出てきていますし、5Gの応用例として5Gドローンを様々なメーカーが計画中です。5Gは低遅延ですから、5Gでつながったドローンの操作もリアルタイムに無遅延でできるのです。

 個人用には4Gドローンはまだ出ていないようですが、老舗のドローンメーカーであるParrotから「ANAFI Ai」が今年下半期に発売される予定です。ANAFI Aiは4800万画素のカメラを搭載し4K動画の撮影も可能、4Gは700~900MHzを使うようで、LTEのBand 8/18/19/20あたりが利用できるのでしょう。ということは、日本での販売もあるのかもしれません。

ParrotのANAFI Ai

 ANAFI Aiは個人向けではなく産業向けに発売されるとのこと。とはいえコンシューマー向けにもドローンを展開しているParrotですから、今後個人向けドローンにも4Gを搭載する可能性は十分にあります。「ドローンといえばDJI」というほどDJIの強い現在の個人向けドローン市場ですが、4Gドローンの商用展開を個人向けにも広げればParrot人気も増えるかもしれません。

 4Gドローンは4Gの電波が届けば飛ばせますから、東京の自宅から北海道の別荘にあるドローンを飛ばす、ということも理論上は可能です。現在のドローンはWi-Fi電波の届くエリアにある本体しかコントロールできませんが、4Gドローンはコントローラーの電源を入れれば、4G回線につながっているドローンを操作できるわけです。4G回線が途切れず、バッテリーの持ちが続く限りどこまでも飛ばし続けることができれば、ドローンの使い方も大きく変わるでしょう。

 KDDIは4Gドローンを「スマートドローン」としてすでに商用化しており、測量や風力発電機の監視に使っています。大企業向けのサービスとなりますが、すでに4Gドローンは日本でも飛んでいるのです。

KDDIのスマートドローンソリューション

 なお、2021年7月8日にドコモが日本初のドローン向け4Gプラン「LTE上空利用プラン」を月額4万9800円(税込)で開始しました。これはもしかするとANAFI Aiが日本国内で発売されることを視野に入れているのかもしれません。災害発生時の現地確認用途などドローンは緊急用にも利用できるだけに、今後は4Gドローンの普及も進みそうです。

 将来はすべてのドローンが5G接続となり、ガソリンスタンドのような形でドローンの「無線充電スタンド」があちこちに立ち、ドローンの電池が切れそうになると自動的に最寄りの充電スタンドに着地してワイヤレス充電をしつつ、次の飛行指令を待つ、なんて姿が当たり前になるのでしょう。街中の外灯を5Gの基地局や電気自動車の充電スタンドにし、その上部にはドローンの充電スタンドを搭載するというソリューションもすでに開発されています。10年もすると、上を見上げるとドローンがあちこちで飛んでいる、そんな光景も珍しいものではなくなるのかもしれません。

スマート化する外灯。上部はドローンの無線充電台になる

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