高性能なだけ、あるいは低消費電力なだけではダメ
AIプロセッサーは性能と消費電力のバランスが重要
ただここまでやっても中身がどうなってるのかに関する説明がなかったのだが、今年3月のLiney Spring Processor Conferenceでやっと中身に関して若干であるが解説があった。もっとも最初のページからして下の画像の通り。ざっくりとしすぎである。
ResNet-50をフルにぶん回すと1223fps/3Wだから、407.7fps/Wということになる。連載614回のexpedraが主張する2000fps/Wにはおよばないが、この数字は決して低くはない。
そもそも、精度とパフォーマンス、消費電力はトレードオフの関係にある、というのがHailo Techの主張である。
例えば監視用カメラの場合、精度とスループットは重視されるが、(外部の電源が期待できるから)消費電力に関しての要求は低い。これがビデオを利用した人物確認(人間の数を数えるだけ)などで良ければ、解像度は落とせる(=精度を下げられる)ので、より高い性能をより少ない消費電力で実現できるとする。
ところが移動式ロボットなどになると精度も重要だし、電池式の稼働になるから消費電力は落としたい。しかし、処理性能を高めにしないとロボットの稼働速度が遅くなるのでバランスが重要になる。
この場合、カメラの解像度は720P以上が必要だが、カメラそのものは1台で済ます(逆に複数台カメラが必要なら、それだけHailo-8の数を増やす)というバーターでこれを実現するとしている。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ