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iOSやmacOSの進化が見えた! 「WWDC21」特集 第13回

WWDC2021 トピックの時間配分から浮かび上がるアップルのプライオリティ

2021年06月21日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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Safariのタブグループに期待「macOS Monterey」

 特にWWDCの発表順に逆らうわけではないが、筆者のような長年のMacユーザーとしては、macOSから話を始めたい。macOSについても、いろいろな新機能が発表されたが、その中で筆者としてもっとも強く興味を持ったのは、どちらかというと地味な機能に属する「Shortcuts(ショートカット)」だった。

 これは、簡単に言えば、Macの操作を自動化するためのもの。Macには、そのための機能として古くからAppleScriptというスクリプト言語があり、それを編集したり、実際の操作をスクリプト化するためのエディタも備わっていた。また近年ではAutomatorというアプリにより、さらに便利な自動化のオプションも提供されていた。実は筆者も、Automatorで自作した小さなアプリを起動時に動かして、再起動のたびごとに必要な設定を自動化していたりする。次期macOSのMontereyは、Shortcutsを装備しても、Automatorは残るようなので、とりあえず安心だ。

 キーノートでは、どのような仕組みで動作するのかについては何も説明されなかった。また、各アプリの機能にどこまで踏み込んで自動化できるのか、今のところは不明だ。それでも、Automatorのものにもちょっと似たようなエディタも付属しているようなので、これは楽しみだ。

 厳密に言えばOSそのものではなく、付属アプリの1つなのだが、新しいSafariにも気になることがいくつかある。まず、ウィンドウの周辺に配置される機能のUIデザインの変更も興味深い。タブのタイトル部分がURL入力欄のようになっていて、そこから直接検索もできるようになっているようで、これは理にかなっていると感じられる。しかしそれよりもありがたいのは、Safariもようやくタブグループをサポートすることだ。実は筆者は、最近では日常的にはOperaを愛用している。そこにスイッチするきっかけとなったのは、Operaが装備したタブグループだった。

 極限すれば、多くの人は現在ではウェブブラウザーの上で生活しているようなもの。ブラウザーで作業する時間はかなり長いし、1つのブラウザー内で同時に開いているタブの数は、誇張抜きで数十にもなることもあるはず。それをうまく整理して、頭の中の記憶、認識と一致させるためには、タブグループのような機能は不可欠なのだ。新しいSafariのタブグループも、使いやすそうなものに見えるので、期待したい。

 ほかにも、これまではMacのSafariだけで利用可能だった機能拡張が、iPadやiOS上のSafariでも利用可能になるというのも歓迎すべきこと。まったく同じ、というわけにはいかないかもしれないが、アップル製の各種デバイス間でカスタムな環境をかなり近づけることができそうだ。

 ウェブブラウザーの場合、使い勝手や機能が優れているだけでは不十分だという考え方もある。ウェブサイトから見たときに、異なるプラットフォーム間で、共通の少なくとも予測可能な挙動を示すものでなければならない。その点では、実はアップル製のデバイスをサポートするだけでは不十分で、他社製のデバイスを含むものである必要がある。以前はWindows版のSafariもあったが、鳴かず飛ばずのうちになくなってしまった。それを復活させるのは容易ではないかもしれないが、マルチプラットフォームで動作可能な真のブラウザーを目指して、Android版ともども登場に期待したいところだ。

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