空間オーディオと最も相性の良いデバイスは新iPad Proだ
今回筆者がApple Musicの「ドルビーアトモスによる空間オーディオ」を試聴するため、リファレンスにした第5世代の12.9インチiPad Proは、アップルのオーディオデバイスとしても現状ベストと言える選択肢だと思う。
その理由は、本機が内蔵する4スピーカーオーディオが2020年に発売された第4世代のiPad Proと聴き比べてみても、さらに力強さを増していたからだ。空間オーディオのコンテンツを再生した時に感じられる立体感がとても際立っている。本体にバッテリーを内蔵する、空間オーディオ対応のポータブルスピーカーとして見た場合、iPad Proを越える実力を持つ製品もほかにない。
Apple TVアプリで楽しめるビデオコンテンツから先に対応した空間オーディオを、最良の環境で楽しめるデバイスもこのiPad Proだ。特に第5世代の12.9インチiPad Proは高精細なLiquid Retina XDRディスプレイを搭載しているので、これまでに発売されたどのiPad Proよりも映像が飛び抜けて美しい。
さらにAirPods Max、AirPods ProをiPad Proと組み合わせれば、Apple TVの空間オーディオに対応するビデオコンテンツ、またはiTunes Storeで購入またはレンタルしたビデオコンテンツを再生した時に、ヘッドホンやイヤホンを装着したユーザーの頭の動きに合わせて、作品のダイアローグや効果音が聴こえてくる方向が変わる「ダイナミック・ヘッドトラッキング」が楽しめる。
アップルは次のiPadOS 15から、FaceTimeアプリによるビデオ通話の音声を「空間オーディオ」対応とすることを発表した。ビデオ通話の音声コミュニケーションが、まるで通話相手と向き合いながら話しているみたいにクリアで開放的な聴こえ方になるそうだ。今秋以降もアップルの「空間オーディオ」という言葉を耳にする機会がさらに増えるのではないだろうか。
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筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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