クラシック音楽ファン待望の「Apple Music Classical」がついにローンチする(日本はスタート時点では利用可能地域に含まれていないが、追って利用可能になる予定)。

Apple Music Classicalの画面

Editor's Choiceや人気のある録音が表示されている。
Apple Music Classicalは、本連載でも紹介したように、クラシック音楽に特化した内容になっている。「Apple Music」の加入者(Voiceプランを除く)は追加料金なしで利用できるが、別のアプリを提供する。利用可能な地域ではプレオーダーが始まっており、3月28日の公開とともに自動でダウンロードが進む。なお、現在のところiPadアプリはなく、iPhoneアプリのみが用意されている。Android版も後日提供される予定だ。
クラシックに特化したアプリにする意味
それでは、何が従来のApple Musicと異なるのだろうか。まず、検索の方法が多様になる。クラシック音楽では作曲者と演奏者が基本的に異なり、同じ曲でも指揮者やオーケストラ名などが異なるさまざまな録音がある。ポップスのようにアーティスト名、曲名、アルバム名だけでは聞きたい音源を見つけにくい場合が多く、複雑な検索が必要になる。Apple Music Classicalでは作曲家や作品名だけでなく、演奏者や指揮者、レーベルなども検索可能であるとしている。
これに加え、(英語版においては)フォントが変更された独自の画面設計がなされている。再生画面には歌詞表示ボタンの代わりに、曲の情報表示ボタンが設けられているようだ。また、情報画面で使用される作曲家の肖像は、このアプリのためにアップルがさまざまなアーティストに依頼したものが使われるようだ。
そして、最も大きな特徴は、聴くことのできるクラシック音楽の曲数が500万曲以上(独占アルバムも数千単位で用意)と大幅に増えることだ。従来のApple Musicにおいて聴くことのできるクラシック音楽の正確な数は不明だが、おそらく数十万曲程度と推測される。Apple Music Classicalでこれが大幅に増えたのは、一昨年Appleが買収した「Primephonic」という音楽サービスをベースにしているからだ。多数の専門家がキュレーションしたプレイリストも含まれている。
日本での提供時期は未定
Apple Music Classicalを最初に利用できる国と地域には、冒頭でも述べたように日本は含まれていない。また、日本以外にも中国、韓国、ロシア、台湾、トルコ、アフガニスタン、パキスタンなどが除外されている。これはPrimephonicとの関係によるものなのか、アジア系言語の問題なのか、理由はわからないが残念ではある。
Apple Music Classicalのローンチに伴って、新しいTwitterアカウント(@appleclassical)が立ち上げられた。国内のサービス開始までは、これをフォローして続報を待ちたいところだ。

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