ファーウェイがついに自社OS「Harmony OS」を搭載したスマートフォンを発表した。新バージョンの「HUAWEI Mate40」シリーズなどに搭載されて発売されるほか、スマートウオッチやタブレットでも動作するという。いよいよ自社OSを搭載したスマートフォンが船出を迎えた。
ついに登場するHarmonyOSスマホ
本国では旧機種も含めてアップデート予定
ファーウェイが2020年12月にベータ版を発表した「HarmonyOS 2 for Smartphone」だが、ついに搭載スマートフォンが発売を迎えた。今回リリースされるのは「HUAWEI Mate40 Pro」「HUAWEI Mate40E」、それにタブレット「HUAWEI MatePad Pro」、スマートウォッチ「HUAWEI WATCH 3」シリーズだ。
ファーウェイはまた、約100機種のファーウェイ端末でHarmonyOS 2を動かせるようになることも発表した。ただし、対象は中国のみのようだ。
ファーウェイは1月に、年内に合計で3億台の端末にHarmonyOSがインストールされるという目標を打ち出している。このうちの2億台がファーウェイ端末、残る1億台は外部という試算だ。
グーグルの独自OS「Fuchsia」も1.0に
TizenはWearOSとの統合の道を歩む
HarmonyOSの歴史は随分昔にさかのぼれるようだが、2019年に「HarmonyOS」として公表してからの流れは、米政府との関係抜きには語れない。Android(AOSP)は利用できても「Google Mobile Services(GMS)」は利用できない。そこで「Huawei Mobile Services(HMS)」を立ち上げ、アプリストア「AppGallery」などのエコシステムを育ている。
ファーウェイが語るところによると、現在300以上のアプリとサービスパートナーが参加しており、開発者は50万人、ハードウェアパートナーは約1000に達しているという。AppGalleryの月間アクティブユーザーは5億4000万としている。
その上での、HarmonyOS for Smartphoneのローンチとなる。
実はこの1ヵ月、HarmonyOS以外にも面白い動きが2つあった。1つ目は、グーグルが開発を進めている独自OS「Fuchsia」がバージョン1.0となったこと。Googleのスマートディスプレイ「Nest Hub」の第一世代向けに配信を開始した。
2つ目は、サムスンが中心となって進めていた「Tizen」が、グーグルの「WearOS」に統合すると発表されたことだ。
スマートフォンのOSといえば、iOSとAndroidの2強状態が続いている。この14年間、古くはオープンソース化で挽回を図った「Symbian」、Nokia/Microsoftが進めた「Windows Phone」、ブラウザーからスマートフォンOSへの展開を狙った「Firefox OS」、あるいはLinuxディストリビューション「Ubuntu」のCanonicalが進めたスマートフォン向け「Ubuntu Touch」などが登場した。Ubuntu Touchは現在、UBportsのコミュニティによりメンテナンスが続いているが、それ以外は消えていった。
TizenがWearOSに吸収されるとなれば、活発なのはJollaの「Sailfish OS」(NokiaとIntelの「MeeGo」の流れを汲む)ぐらいかもしれない。
この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ