モジュラーデザイン
iMacのデザインはディスプレー部分とアゴの部分のコンピュータ本体に分けることができ、前述の通り電源も外に出されています。
こうなったことで、ディスプレー、コンピュータ本体、電源と、それぞれを別々に発展させられるモジュラーデザインになっているのです。
例えばコンピュータ本体については、MacBook Airと同じような基板に、それより幾分立派な排熱機構と組み合わせています。11.5mmという厚さは一体型デスクトップとしては極薄で、16.5mmのMacBook Airより薄いのですが、MacBook Airの半分はディスプレーで、コンピュータ部分はキーボード側に入っているため、iMacよりも少ないスペースに収めなければなりません。
しかしiMacは、前述のようにディスプレー部分とコンピュータ本体部分を分けたため、11.5mmの厚さ全てで本体の基板と排熱機構を構成できる点で、熱設計の上で有利と言えます。例えばこの部分により高性能なコンピュータを導入するとしても、大きなデザイン変更なしで実現できるのではないでしょうか。
ディスプレーについても同様です。これまでのiMacはディスプレーの裏側にコンピュータ本体や電源などが導入されていたことから、これらも含めた排熱設計をしなければなりませんでした。
しかし今回のiMacでは、ディスプレーのみに利用できて、排熱についても他のパーツのことを考える必要がありません。そのため、ディスプレーについても、iPad Proに採用されたようなLiquid Retina XDRへの拡張が可能になっていると考えられます。
電源についても、外に出しているため、プロセッサやディスプレーの性能が上がって必要な電力が増加しても、本体の設計を変えずに出力を大きくすることができます。
今回のiMacのデザインを紐解いてみると、かなり未来に向けた準備がされていることがわかります。再び、長い時間、このデザインが使われ続けていくことになるのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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