1965年より「Aus Freude am Fahren(駆けぬける歓びのために)」を社是とするBMW。その中で、おそらく最も体現しているのが、これから紹介するM440i xDrive Coupeではないでしょうか。とにかくすべての面において「This is ちょうどいいBMW」なのです!
「その顔、どうした?」
バーチカルキドニーと言います
BMWといえば、初代6シリーズをはじめとして数多くの名クーペを送り出してきたクーペ作りの名門中の名門。4シリーズは、BMWの屋台骨であるDセグメントの2ドアクーペで、先代の4シリーズは実に素晴らしいクーペでした。当然2代目にも期待に胸が膨らみます。ですが姿を見た誰もが「その顔、どうした?」と大型化したキドニーグリルに目が釘付けになるのでは? バーチカルキドニーと呼ぶそれは、BMW328や3.0CSiといったヘリテージに由来するそうなのですが、いやいやあちらは細長かったような……。写真で見ると違和感バリバリですが、実車はそうでもなく、むしろ見続けているうちに、カッコイイと思うから不思議。
4シリーズ クーペは、直列6気筒500馬力オーバーの強心臓が与えられた「M4コンペティション」を頂点に、少し出力を落とした直列6気筒エンジンに四輪駆動を組み合わせた「M440i xDrive Coupe」、直列4気筒エンジンを搭載したスタンダードモデル「420i Coupe」と、スポーツ濃度を高めた「420i Coupe M Sport」の4車種で構成。今回ご紹介するM440i xDrive Coupeは、3シリーズ セダンで言うところのM340i xDriveに相当する「Mパフォーマンス」グレードにあたります。Mパフォーマンスグレードとは、サーキット走行は視野に入れてないけれど、ロードモデルの最高位を求める方に向けたクルマ。ようするに普段使い最強、一騎当千モデルといえそうです。
横から見ると実にコンサバティブなクーペスタイル。大きさは3シリーズとほぼ同等の全長×全幅×全高=4775×1850×1395mm。ほぼ、というのはM340iとM440iの比べると全長は伸長された一方、全高は50mm低くなりました。さらにリアのトレッドは23mm拡張されているから。それによりスポーツ度の高いプロポーションを実現したというわけです。どこかロングノーズ、ショートデッキにも見えるところが、この4シリーズがカッコイイと思うところなのかもしれません。
気になるエンジンは、3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ。いわゆるシルキーシックスです。最高出力は387PS/5800rpm、最大トルク500N・m(51.0kgf・m)/1800~5000rpmと、シングルタービンながら、かなりの強心臓。ここでピンときた方はいらっしゃると思いますが、トヨタのGRスープラRZグレードに搭載するものと同じモノだったりします。トランスミッションは8速AT。もちろんステアリングパドルおよび操作によるマニュアル変速にも対応しています。
タイヤはブリヂストンのトランザT005 RFT。前225/40R19 93Y/後255/35ZR19 96Yと極太のランフラットタイヤを履きます。「BS系は総じて縦剛性が高く、乗り心地が硬質なんだよなぁ」と思っていたところに「ランフラットは乗り心地が硬くて嫌だなぁ」という二段攻撃。そしてとどめとばかりに「しかも35扁平!? 絶対硬いじゃん!」というのが乗る前の感想。BS系は縦剛性が高いですからね。はたして硬質な乗り心地なのでしょうか?

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