ウェアラブルデバイス市場の拡大をここ数年けん引しているのはAirPodsなどの小型のワイヤレスヘッドフォンです。Hearable(ヒヤラブル)と海外では呼ばれることもありますが、一般的には「Pods」や「Buds」と呼ぶほうがなじみがあるでしょう。
日本に参入したrealmeが「realme Buds Q」などワイヤレスヘッドフォンやスマートウォッチを最初に投入するのも、スマートフォン市場はすでに飽和しており競争が厳しく、それに対してウェアラブルデバイスはまだまだ市場が伸びており参入余地があると判断したからでしょう。
このワイヤレスヘッドフォンは世界中に数百、いやそれ以上のメーカーがあります。ECサイトを見れば名も知らぬマイナーメーカーの製品も多く、中国製のノーブランド品もよくみかけます。筆者の住む香港でも安いBudsなら500円くらいで投げ売りされているモノもあるなど、激安品も出てきているほどです(もちろん音質は劣ります)。
すでにマイナーメーカーの製品は価格競争に巻き込まれており、値段を下げるだけでは売れない状況になっています。そこで出てきた新しいアイディアがワイヤレスヘッドフォンを「腕に巻く」スタイル。それもただ腕に装着するのではなく、スマートウォッチやリストバンドデバイスの中に、あの小型のPodsやBudsを内蔵している製品です。
見た目はスマートウォッチですが、メイン機能としてはリストバンドデバイスと同様の活動量計であり、スマートフォンからの通知が受けられる程度とそれほど高性能ではありません。しかし腕にはめておけばいつでもヘッドフォンを取り出して聴けますし、収納して充電することも可能です。さらに時間もわかるし通知も受けられるとなれば便利な製品なのではないでしょうか。
ヘッドフォンの収納方法はメーカーにより様々です。上の写真のBeskaciというメーカーの製品はスマートウォッチのディスプレーを上に開くと内部にヘッドフォンが収納されています。価格は599元(約1万円)。またHonvveというメーカーの製品はスマートウォッチ側面にヘッドフォンを収納させます。こちらは1599元(約2万7000円)と高価ですが、質感や音質はそれだけいいのかもしれません。
そしてアップル製品のようなこちらは本体の上を開けてヘッドフォンを収納します。価格は699元(約1万2000円)。いずれもメーカー名があったりなかったりで、直接の販売ページがないなど探すのはやや大変かもしれません。中国のECサイト(Taobaoなど)で「藍牙手表耳機二合一」などと検索すると、それっぽい製品が出てきます。藍牙=Bluetooth、手表=腕時計、耳機=ヘッドフォン、二合一=2つを1つに合体型、という意味です。
スマートウォッチも格安品が増えており、ヘッドフォンも価格競争が厳しい中、スマートウォッチ内蔵型のヘッドフォンは「2台を1台にできる」ということから、やや高めの価格設定でも十分売れているようです。とはいえすでにスマートウォッチをしている人にとっては、もう1つスマートウォッチを腕にはめる気にはなれないでしょう。そこでサイズがスリムなリストバンドデバイスにヘッドフォンを内蔵した製品もあります。前述のHonvveのリストバンドは色と言いデザインと言い、大手メーカー品とそん色のない製品に見えます。なお価格は699元(約1万2000円です)。
この手の製品を買わずとも、AirPodsなどを腕に装着できるベルトが販売されていますが、筆者は使っている人を見たことがありません。ただ腕に取り付けるだけではカバンの中に入れても使い勝手はあまり変わらないのでしょう。やはり腕に装着するのであれば、時計や活動量計などの機能があったほうが便利かな、と思ってしまいます。
これらのヘッドフォン内蔵型スマートウォッチやリストバンド、いずれはシャオミなどが類似の製品を出してくるかもしれません。さすがにApple WatchにAirPodsが内蔵できるモデルが出てくることはないでしょう。とはいえ中国メーカーのアイディア次第では、ウェアラブルデバイス市場をけん引する製品が融合し、新しい市場を生み出すかもしれません。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
![](/img/blank.gif)
この連載の記事
-
第711回
スマホ
Nothingの最新スマホ「CMF Phone 1」にロンドンで対面し興奮のまま購入! -
第710回
スマホ
BMWコラボスマホが海外で立て続けに登場で香港とインドに超嫉妬! -
第709回
スマホ
「OPPO Reno11 A」が日本発売! ベース(?)の海外版「Reno11 F 5G」との違いを調べた -
第708回
スマホ
HONOR参入で中国で競争激化、フリップ型の折りたたみスマホ -
第707回
スマホ
NokiaスマホのHMD、「HD」のスマホに移行 格安モデルで勝負をかける -
第706回
スマホ
カラーE Ink搭載スマホ「Bigme Hibreak」登場! 第3のスマホディスプレー到来か!? -
第705回
スマホ
米軍向けのタフネスGalaxy! 「Galaxy S23 Tactical Edition」のケースが欲しすぎる! -
第704回
スマホ
HTCから新スマホ「U24 Pro」発表! U23 Proと比較して進化ポイントをチェック -
第703回
スマホ
Xperia人気根強い台湾 21:9の「Xperia 10 VI」が物理SIM2枚対応で日本より先に発売! -
第702回
スマホ
ドバイの超巨大ショッピングモールでシャオミストアを発見! 「ミニチュアドバイ」を撮影した -
第701回
スマホ
Galaxy A55 5Gの姉妹モデル、革張り高級スマホが海外に登場 - この連載の一覧へ