昨年トヨタからヤリスが、HondaからはFITが登場したBセグメント市場。となると、日産は? と思っていたら、やっぱり出ました「NOTE e-POWER」! 待ちに待った新型NOTE e-POWERを試乗してきましたのでレポートします。
すべてが刷新!第二世代e-POWERを搭載
今や見かけない日はないほど、売れに売れまくった日産NOTE。それもそのハズ、2017年から3年連続で国内のコンパクトセグメント販売台数1位を記録しました。今や日産自動車の屋台骨を支えている車種といっても過言ではないほどのNOTE。失敗するわけにはいかず、その力の入れようは並々ならぬものがあります。
フロントマスクは大幅に刷新。シャープなヘッドライトと大型フロントグリルを備えた顔立ちはイケメンそのもの。従来の日産車のデザインとはかなり顔つきが異なり、同社が今年販売開始する予定と言われている電動SUV、アリアに似ているように思います。全面刷新に思えますが、よく見るとグリルにはVモーションデザインを採用するなど、日産らしさは忘れておらず。一方、中央のエンブレムは新しいNISSANのロゴに変わっていて、2020年5月に発表した「事業構造改革計画/NISSAN NEXT」を担う、新しい日産車なんだな、と。
側面を観ると、基本的には直線基調。ですが、フェンダー部分に曲線を持たせ、かつ盛り上げているあたりは、どこかSUVっぽい要素を感じさせます。ボディーサイズは全長4045×全幅1695×全高1520mm。実は前型に比べて、全長は5.5cm短縮、ホイールベースも2cm短くなっています。これに伴い、最小回転半径は前型の5.2mから4.9mに縮まり、取り回しがよくなりました。これは新設計プラットフォーム「CMF-B」に依るもの。CMFとはコモン・モジュール・ファミリーの略で、BはBセグのこと。
日産自動車によると「次世代上級小型車向けプラットフォーム」だそうで、超ハイテン材を2代目比で24%増加させているのだとか。これによりボディー剛性が30%上がったほか、サスペンションを刷新したことでサスまわりの剛性が10%増し。ステアリング回りに至っては、剛性が90%も上がっているそうです。以前、ルノーの新型ルーテシアを試乗した際、そのハンドリングの気持ちよさに感動したので、NOTE e-POWERも期待できそうです。
先代NOTEは、初めてシリーズハイブリッドのパワーユニットe-POWERを搭載したモデルでした。駆動はモーターのみ、搭載するエンジンは発電用と分けたこのユニットは、その後同社の様々はモデルに採用されてきました。今回のNOTEには、新型の第二世代モデルを搭載。モーターとインバーターを刷新したことで、40%の小型化と30%の軽量化したとのこと。確かに今まで見慣れたe-POWERユニットと比べると「小さくなったなぁ」と感心しきりです。前作と比べてトルクを10%、出力を6%向上したそうで、こちらは加速に期待がもてそう。また、低速時にエンジンを動作させないなど、始動タイミングも変えたとのことで。これは静粛性に効果がありそうです。ちなみにNOTEにガソリンエンジン仕様はなく、e-POWERモデルのみとなります。
USB Type-CやHDMI端子、Qiまである
実用性のある車内
室内は従来のNOTEとは大きく異なる近未来的なデザイン。その中でも最初に目に飛び込んできたのは、二階建てのセンターコンソールです。二階建てセンターコンソールのメリットは、下段に大型の収納が設けられるほか、アームレストが大型にできるところ。長距離運転時において、大型のアームレストはとても有益です。下段のスペースには一般的なティッシュペーパーのボックスをそのまま納めることができます。
シートはややサイドサポートが立ったタイプ。ランバーサポートはやや薄めという印象です。写真のグレードはXで、シートメインの一部に本革を、その他の部位は人工皮革が使用されていました。サイドミラー近くの小窓は大型化。左側面のピラーあたりの死角が少ないのはよいことです。
センターコンソールに取り付けられているシフトレバーの形状も変更。日産車といえば、半円級で動かす方向も左右上下でしたが、新型NOTEは長方形として上下方向に動かすシンプルなものに。バックの時のみボタンを押さないとポジションに入らないようです。
シフトレバーの先にあるトレイは、スマホの非接触充電に対応。充電中は橙LEDが点灯、満充電時は緑LEDが点灯します。USB端子は2系統用意し、Type-AのほかType-Cも用意。USB Type-Cはコネクターに上下区別がなく差し込みミスがないほか、USB PowerDeliveryに対応しているので、ノートパソコンの充電ができるなどのメリットがあります。輸入車でType-Cを搭載する車両は見かけたことがありますが、国産車では初めてかもしれません。
センターディスプレイはイマドキらしい大画面タイプ。パッと見た感じ、今までの日産車では最もハイコントラストで、とても見やすくなっています。Apple CarPlayなどのスマホ連携もバッチリ対応済。
運転席に座って驚くのは、メーターパネル周り。まるで机にタブレットを置いたかのようなデザインで、日よけがありません。LCDをメインとしたメーターパネルはイマドキ珍しいものではありませんが、ここまで割り切ったデザインは、某H社の電気自動車を思い出せます。ですがあちらも日よけは付いていたような……。表示でイイナと感じたのは、ブレーキランプが点灯している時、クルマのアイコンのブレーキランプも点灯するようになったこと。
NOTE e-POWERは前作からe-Pedal(ワンペダル動作)に対応しているのですが、従来ではブレーキランプが今点灯しているのかどうかわからなかったのです。ですので、アクセルペダルを離して車速が減速していっても「後方車両に伝わっているのかな?」という不安がありました。こうした安心感はうれしいところです。
運転席のハンドル近くと助手席ドア側のダッシュボードに、収納式ドリンクホルダーが用意されているのも美質。ドリンクホルダーをアームレスト側に用意する車は多いですが、年を取ると背中方向に手が回らないものです。
ペダルまわりは、最近の傾向として、踏み間違え防止の観点からアクセルペダルを小さくし、ブレーキペダルを大きくする傾向があります。新型NOTEもその傾向にならったもの。また、日産車の中にはフットレストがないモデルがあったりするのですが、NOTEには用意されていました。
運転支援や安全装備もバッチリで、おなじみのプロパイロットやSOSコール、ソナー、インテリジェントアラウンドビューモニターなどテンコ盛り。さすが技術の日産と思わせる充実ぶりに、ただただ唖然です。
この連載の記事
-
第491回
自動車
ボルボの電動SUV「EX30」は価格と性能のバランス良し! 乗って実感したオススメポイント5つ -
第489回
自動車
サーキット向けのアルピーヌ「A110S」はフランスらしいデザインと上質さで街乗りも楽しい -
第489回
自動車
アストンマーティン「DB12」はラグジュアリーと最高性能を両立させて究めた1台 -
第487回
自動車
Hondaのセダン「アコード」はすべてが適度でちょうどいい! 5つの魅力を紐解く -
第486回
自動車
これぞ王道! これぞ本流! BMWの魅力を凝縮したSUV「X5」は最高の1台と断言する -
第485回
自動車
1000万円対決! ポルシェ「マカンT」とアウディ「SQ5」似て非なる2台をあらた唯と徹底比較 -
第484回
自動車
日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のHonda「FREED」の魅力と買いのグレードはコレだ! -
第483回
自動車
【ミニバン売れ筋対決】ホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」の良いところと微妙なところ -
第482回
自動車
これがBMWの未来! フラッグシップEVの「iX」は乗り心地良すぎで動くファーストクラス -
第481回
自動車
アルファ・ロメオのハイブリッドSUV「トナーレ」はキビキビ走って良い意味で「らしく」ない -
第480回
自動車
独特なデザインが目立つルノーのクーペSUV「アルカナ E-TECH エンジニアード」はアイドルも納得の走り - この連載の一覧へ